最近読んだ本、「罪の声」、「キトラボックス」

  • 2017年9月19日
  • 1人

塩田武士、「罪の声」
これはすごい。一気に読んでしまった。あの「グリコ森永事件」をベースにした
推理小説だ。わし自身、実際の事件を振り返っみたら何もわかってないし、何もかも
うろおぼえ、世の中の大事な事を直視しないで過ごしてきた数々のことがらの
ひとつやなあって改めて反省した。
もしかしたら、本当にこうだったかもしれん。いかにもな話を空想してみると
言うよりは、綿密に記録を調べて調査と推理を組み立てているような構成だ。
まるでドキュメンタリー映画をみているよう、ぐんぐん惹き込まれていく。
グリコ森永事件はこの本ではギン萬事件だ。
今時珍しいテーラーの仕事を父のあとを継いで続けている曽根俊也という男がいる。
ある日、父の遺品の中から古いカセットテープを見つけた。その中には驚くべき
内容が録音されていた。「ギン萬事件 」の犯人からの脅迫電話の音声ではないか。
しかもその声はまさか、自分自身? 一体何故? どういう経緯で? 何故父の
遺品に? 調べずにはいられない。昔からの客であり、頼りになる知人、堀田の
助けを借りよう。二人が見つけていくものは?
阿久津と言う記者がいる。何か特別なスクープネタを拾えと命じられる。
「ギン萬事件 」をヨーロッパの誘拐事件と絡めて調べることから始まった。
阿久津が掘り出していくものは?
埋もれてしまっていた関係者を丁寧に探り、すこしずつ当時の事情に近づいていく。
曽根俊也は父の周辺から、当時の関係者を・・
阿久津はイギリス、ハイネケン社長誘拐に興味を持った東洋人を・・
少しずつ、埋もれていた記憶が明らかになっていく。
果たして誰と誰がどう関わっていたのか?
犯人は? あるいは犯人グループは?
何故?
とてもおもしろい。
ほんまにこうやったんちゃうやろかという説得力まで感じてしまう。
さて、真犯人は誰なのか?
驚愕の事実が次々に明らかになる。

池澤夏樹、「キトラボックス」
ある日、国立民族学博物館、研究員の可敦は考古学者、藤浪から禽獣葡萄鏡を
見に行くよう依頼される。ウィグル出身の彼女にはもしかしたらこの鏡の出所に
心当たりがあるのではないかということだ。
そして、日本、中国、ウィグルをかけた鏡の謎が浮かんできた。彼らはこれを
解き明かせるのか?
そして大嶺の山中から発見された剣とは? 剣に彫られた7つ星は?
キトラ古墳と繋がりは?
はるか昔、遣唐使に付いて唐の都に使いした貴人とは? そして、連れ帰った
胡人とは? 果たしてキトラ古墳に眠るのはだれなのか?
時空を超えて、空想と謎解きと冒険が始まる。
その頃、突然、可敦に危険が迫る。可敦とはいったい何者なのか?
文学的にどうのこうの言うより、話題がとても面白い。古墳の埋葬者は誰か?
副葬品は何故そこにあるのか? その背後にどんな歴史が隠されているのか?
本当か嘘か、それは別にして、時空を翔る空想の世界、謎解きの世界、そういう
ところに連れて行ってくれる。
とても面白い本だ。

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