カズオ・イシグロ、「忘れられた巨人」
大好きなカズオ・イシグロの最新作だ。すばらしい。
「日の名残」や「わたしたちが孤児だったころ」を読んで魅了されてから、こ
の人の作品は殆ど読んでいるし、新作が出るのをいつも待っている。この本も
書店に出てすぐに図書館予約したんやけど当然新作は順番が回ってくるのに時
間がかかる。
しかし、待った甲斐があった。おもしろい。やめられへん。読み終わるのが惜
しい。こういう本は終わり近くなったらちびちび読むのだ。
老夫婦、アクセルとベアトリスが山の中の窖暮らしのとある村にいる。
二人には気がかりな事がある。遠く離れた村にいる息子に会いに行かないとい
けないのだ。しかし、歳とともに記憶が曖昧になっていく。何故行かないとい
けないのかを忘れつつある。
しかし心の中の何かが早く行動しろと言っている。出かけるなら今だ。
記憶が消えてしまわないうちに。
とうとう二人は旅にでる。長い旅だ。
この国は、あらゆるところでサクソン人とブリトン人が争っている。
アーサー王が平和をもたらしてから久しいというのに。何故だ。
二人はある村に辿り着く。
その村も戦いに巻き込まれていた。突如現れた戦士ウィスタンに助けられた村
の少年エドウィンもこの村に居られない。
二人と少年、それを守る戦士の4人の旅が始まった。
道中はだんだん危険になってくる。戦士の力をもってしても防げないのか?
円卓の騎士ガウェイン卿とは敵なのか味方なのか?
伝説のドラゴン、クエリグは本当にいるのか?
渡し船の船頭の問いに正しく答えられるのか?
エドウィンの運命は?
戦士の運命は?
老夫婦はどうなる?
アクセルって本当は?
大いなる叙事詩。
大冒険ファンタジー。
限りない愛の物語り。
とても面白い。
原田マハ、「モダン」
又、原田マハの本を読んでしまった。
この人の美術関連の小説はつい読んでしまう。特にこの本は、作者が元勤めていた、
「MOMA」(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした短編集だ。格別な視点での物語
があるのではないかと期待が膨らむ。
「新しい出口」
「中断された展覧会の記憶」、
「ロックフェラーギャラリーの幽霊」、
「私の好きなマシン」、
「あえてよかった」
やっぱり絵のことを語り始めるとこの作家は熱い。
そして「MOMA」の学芸員の暮らしや歴史、その背景などなど歴史ある巨大な美術館
としての姿が目の前に立ち上がってきてとても興味深い。
アンドリュー・ワイエスと福島、9.11と学芸員。創業者の謎。
分かり易くて楽しい話が一杯だ。
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ありがとうございました。