最近の作品のご紹介。「奥の細道」から、「立石寺」、「尾花沢」、「最上川」を墨絵に。

芭蕉の「奥の細道」をたどる絵を、墨絵に描いている。

「立石寺」、「尾花沢」、「最上川」の項に出てくるあたりを描いてみた。

 

尾花沢。

山形の山の中にある町。ここでかなり長期間滞在したらしい。

それほど居心地の良いところだったのだろう。

 涼しさを我宿にしてねまる也

 這出よかひやが下のひきの声

今では、その地の銀山温泉が超有名な観光地になっている。

わしは、今年の2月に雪見温泉と洒落て、秘境温泉気分を味わいに行った。

 

山間の小さな集落の中にある小さな温泉。それが雪に埋もれてとてもよい風情を醸し出していた。

芭蕉が行ったのは夏の終わり頃。季節感はまるで違うけど、心地よさは今も昔も同じやと思う。

紙本、10号 45.5x53cm。

 

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立石寺。

山形県にある山間のお寺。今は、鉄道や自動車道が整備されてるんでいろんなコースでここに来れるけど、芭蕉のころには尾花沢から来るのが普通だったみたい。

奇山奇岩がつらなり聳える山のうえに山寺と呼ばれる修行小屋みたいなのがある。

奥の細道にはこんな風に描かれている。 ::麓の坊に宿かり置きて、山上の堂にのぼる。岩に巌を重ねて山とし、松柏年旧(としふり)、土石老いて苔滑らかに、岩上の院々扉を閉じて、物の音きこえず。岸をめぐり、岩を這いて、仏閣を拝し、佳景寂寞(かけいじゃくまく)として心すみ行くのみおぼゆ。::岩波文庫「おくのほそ道」より。 閑さや岩にしみ入蝉の声

わしは、やはり冬の頃、友人たちと二度ここを訪れたことがある。

一度目は、アイゼンなんかを用意してなかったんで、凍った石段の参詣道を登るのに滑りまくってこけまくって七転八倒した苦い思い出がある。二度目は準備バッチリだったのに、雪は少なかった。

芭蕉のように夏の爽やかさというよりは、冬の過酷さ荘厳さを味わうことができた良い旅だった。

山寺は麓からでも見ることができる。

遥か崖の上に危うく立っている修行の場所だ。

紙本、10号 45.5x53cm。

 

 

最上川。

最上川は、大石田から酒田に下る舟便のでるところだ。今も少し場所は違うらしいけど、ほぼ同じ最上川、川下りを楽しめるみたい。

いや、昔は、楽しむというよりは、重要な交通手段であったらしい。

わしは、残念ながら行ったことはない。

大石田という町で、天候と川の流れを見ながら、日和を待つ。 「ごてん、はやぶさなど云うおそろしき難所あり」と書いてある。 「水みなぎって舟あやうし」というところらしい。 五月雨をあつめて早し最上川

紙本、10号 45.5x53cm。

すぐそばの銀山温泉までは行ったけど、舟下りはできへんかった。

また機会を作ってぜひ行ってみたいと思ってる。

まとめ。

芭蕉の旅のオマージュとは言え、行ったことがあるところを描くのと、見たこともないところを描くのとでは気持ちの入りかたが違うようにおもう。

だからと言って良い絵が描けるとは限らへんけどね。

それにしても旅はしてみるもんだ。

漂白の思いやまず。

まだまだ、あちらこちらを彷徨ってみたい。

あじあんじゃんくしょん
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