最近読んだ本、」「朱色の化身」。

  • 2022年9月2日
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塩田武士、「朱色の化身」。

「罪の声」、「歪んだ波紋」。「デルタの羊」、続けた追いかけてるなあ。

この人の作品は大好きだ。

大路亨はフリーのライター。地味な仕事の活動をしている。

父親ゆずりか。

父親は頑固な元新聞記者。ガンが判明して、闘病生活だ。

ある日、父に頼まれて、辻珠緒という女性に会いたいと言う。なぜかははっきり言わない。

しかし、連絡がとれない。誰も居場所を知らない。連絡も取れてないと言うのだ。

何故か?

不思議だ。

そういえば、たしか、昔、一世を風靡したゲームの開発者として、インタビューしたことがあったはず。

周辺の人から聞き込みを始める。

会社の同僚は言う。彼女は天才的なゲームプロデューサだ。ゲームをするものを引きつけ、とりこにする何かをを持っている。

しかし、何故、突然いなくなった? わからない。

京都大学を優秀な成績で卒業。

有名金融企業に就職。女性ではトップクラスの昇進か?

なぜ、突然、仕事をやめたか?

素晴らしい経歴と才能がありそうなのに、なぜか、不確かな、不安定なものを抱えていそう。

しらべるうちに、疑問が次々に湧いてくる。

父はどこまで知っているのか。父の昔の仕事に関係あるのか?

あまりにも孤独な世界が見えてくる。

何を抱えて生きていたのか?

もしかしたら、生まれ育った、芦原温泉の街に関係があるのか?

その街でなにがあったのか?

その生い立ちは。

友達はいた。後に再会して、依存症になった子供をひきとって更生させてくれた。

なぜか?

調べれば調べるほど、光の裏にある影が見えてくる。

祖母との暮らし、義父との確執。

結婚生活もあった。京都の有名老舗の息子だ。

幸せなはずの結婚生活はどうなったのか?

母はどうなったのか?

決めたとおりまっしぐらに生きて行く。

それが幸せを呼ばないのか?

昭和31年の福井の大火、芦原温泉を焼き尽くした大火で何が起きたのか。

これを調べて何になるのか?

ライターとして記事にする気はないし、そういうことで取材をしてきた。

得るものは何か?

ゲームの世界に現れたのは、この凄まじい人生の縮図なのか?

それを乗り越えていくゲームの意味するものは?

一旦取り憑かれたら逃れるすべがない、理不尽が存在するのか?

なぜ、幸せになれないのか?

努力したら報われるということではないのか?

誰にも訪れる救いや癒しというものがないのか?

この理不尽は何なんなのだ。

このやるせなさは何なのだ。

この不条理は何なのか。

いつか心安らぐ日がくるのか?

よむほどに辛い。

必死で読んでしまう。

夢中で読んでしまう。

あじあんじゃんくしょん
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