柚月裕子、「ミカエルの鼓動」。
「虎狼の血」で有名なベストセラー作家。
今度は医術ものだ。
さすがうまいなあ。読ませるなあ。読みやすくて面白いんでつい読んでしまう。
スピードが速い、展開が速い。起承転結が効いている。
ハラハラドキドキ、テレビドラマや映画を見てるみたい。
さて、西條泰巳登場。北中大病院北海道中央大学病院で医療用ロボット、「ミカエル」を
操って困難な心臓手術を行う第一人者だ。
カッコいい。若手エリート医師だ。
病院の経営陣もロボット医療にかけているようだ。
病院中の期待の星でもある。
院内の出世は約束されてる?
経営戦略担当病院長補佐に雨宮香澄登場、外資系企業から異例の抜擢?
キリリとした美人だ。
さて、順風満帆、前途洋々? のはず?
しかし、何かがおかしい? 私の知らないところで何か起きているのではないか?
そんな矢先に循環器第1外科科長の後任に真木一義という男がやってきた。
東京心臓センターを辞めて、ドイツミュンヘンにあるハートメディカルセンターで
心臓外科医をやってたというバリバリの天才ともよばれる手術医だ。
強敵登場。なぜ? ロボットがあるのになぜ? 何のために?
ライバル登場。
舞台は揃った。
そして、いよいよ、大手術。
意外なメンバーが難手術に取り組み。臨時の最強メンバー? 何故?
さて、ここから手に汗握る展開に。
ワクワクドキドキ、丁々発止。胸キュン場面もある。
とても面白い。
ミカエルはどうなる?
手術はどうなる?
まるでテレビドラマや映画を見てるみたい。
最初から、そういう風に作られてるような気さえする。
すごいなあって思うけど、ちょっとわざとらしくはないやろか?
あんまり出来すぎてるんとちゃうんやろか?
知らんけど。
寺山修司 「寺山修司 全歌集」。
はるか昔、「書を捨てよ、町へ出よう」、「誰か故郷を想わざる」って本を持っていた。
今も持ってるけど。横尾忠則のイラストが表紙になったやつだ。
この頃は時代の最先端、わしみたいなええ加減な学生では、本を読んだくらいでは
とてもついていかれへん、ただおろおろと今の世の中、こんなもんなんかと驚き
あきれていたもんだ。
前衛劇団なんかいろんなもんが一斉を風靡していた。
その頃、実は彼は俳句や短歌の天才なんだということも聞いてたけど、そうなんかと
思った程度であんまり意識がないあいだに、名前が消えてしまった。
最近読んだ本の中で何度か彼の名前が出てきてて、そのうちその俳句や短歌が気になって
読みたくなったのだ。実は前に買ってあって、あんまり読んでなかった全歌集というやつを
もういちど読み直したのだ。
俳句はないけど、短歌はほとんど載ってるようだ。
改めてすごいなあって思った。
わしは、俳句や短歌なんて皆目わからへんけど、素人なりに心惹かれる、心打たれる
心情の吐露がうかがえる。
ことばのイメージがあるときにはぐさりとあるときにはシュールに目の前に立ち上がってくる。
解説がすごい。
文庫本巻末の解説Ⅰ アルカディアの魔王ー寺山修司の世界
塚本邦雄氏によっと絶賛されている。
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・・・・老い朽ちようとする韻文定型詩は、まさしくこの寵児の青春の声によって、一夜にして蘇った。
そしてこの定型詩が”蘇った”のは、あとにもさきにもこの時一回かぎりだったのではなかろうか。・・・
:::
中井英夫氏によって”発見”されなければこの人の登場はなかったとある。
そのきっかけとなった「チェホフ祭」の冒頭の詩。
一粒の向日葵の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき
桃いれし籠に頬髭おしつけてチエホフの日の電車に揺らる
チエホフ祭のビラのはられしりんごの木かすかに揺るる汽車過ぐるたび
・・・・・
とてもすごい。
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ありがとうございました。