最近読んだ本、「Q 上、下」

  • 2015年3月11日
  • 1人
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ルーサー・プリセット、「Q 上、下」
この本、メチャメチャ面白い。
最初はちょっと難解そうやし、舞台がヨーロッパの中世、キリスト教云々と言
う話やったんで、すぐには入って行きづらかった。
しかし、読んでる内にどんどん引き込まれてしまって、上巻の中頃からは一気
に読んでしまった。
この小説は出来方からして謎が多い。覆面作家と言う事で、もしかしたら、「
薔薇の名前」のウンベルト・エーコではないかと言う噂もあったらしい。「薔薇
の名前」を思わせるような作家なら是非読んでみたい。
しかも、ボローニャのイタリア人四人の共著でアンチ・コピーライト小説と言
う事でWEB上で発表されたのだそうだ。各人が共通の名前ルーサー・プリセット
という筆名で書き繋いでいくという約束で出来上がったらしい。
そういうぎくしゃく感がどっかで出るんかなって思て読んだけど、それは全く
なかった。帰って物語の変遷が予想を超えるような意外性が沢山あったり、目
まぐるしさがわくわく感をさそったりしながらも根幹の流れはしっかりしてる
ので混乱なく、楽しく読み進める事ができた。
時代は神聖ローマ帝国、カール五世の頃、折しもルターの宗教改革運動がキリスト
教世界を震撼させていた頃だ。
ローマ法王とカール五世の覇権争い、その隙につけこもうとするフランス王。
ルター派も勢力を強める。
誰しも唯の権力争いだ。民衆の見方は誰もいない。
そういう時にドイツのミュールハウゼンで農民の見方が立ち上がった。
トマス・ミュンツァーが農民戦争を引き起こしたのだ。
一時は革命が成功しそうな勢いだった。しかし、形勢はだんだん不利になる。
追い詰められ、とうとうフランケンハウゼンで最後の戦いが。
トマス・ミュンツァーは既に捕まった。すぐに殺されるだろう。
彼の手紙を託された主人公は戦いの中でかろうじて生き延びる。
そして、姿を変え、名前を変えてヨーロッパの各地を転々と・・・。
この時代のヨーロッパってイギリスも含めて、今よりは遙かに自由に行き来出
来たんやね。今の国家とは概念が違う。
しかし、男はどこにいっても監視されているようだ。肝心な時に、手痛い裏切
りが起こって男は辛くも逃げ出さざるを得ない事態に追い込まれる。
密告者は一体だれなのだ。
物語の一方は、その誰かは分からない密告者とローマ法王庁のえらいさんとの
手紙がドライブしている。
サスペンスとして実に面白い。
男は、権力と対局の側で戦いを続けざるをえない。
頑張れ。
気がついたら男を一生懸命応援してる。
悪いやつを見つけ出してやっつけろ。悪巧みに騙されるな。
手に汗を握るうちに舞台はベネチアに移る。
折から活版印刷が始まった時期でもある。
剣の戦いに、紙とペンの戦いが加わる。新たな武器は功を奏するのか?
次期法王は誰になるのか?
最後に権力を握るのは誰なのか?
男の正体は誰だ?
密告者の正体は誰だ?
そしてどうなる?
実に面白い!!

hon150309

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