最近、本棚を見ていて、あまり記憶にない本があるのに気がつきました。
「北京電影学院物語」とある。何時買ったのか?誰かに貰ったのか
全く記憶にないのです。もしかしたら、映画の道の先輩の誰かに教えて
貰って買ったまま置いていたのかもしれないし、頂いて忘れていたの
かもしれません。
多分、入手した当時は、中国にも、中国映画にもあまり興味がないころ
だったのでしょう。
それで、表紙を手にとってみると、第五世代とか、陳凱歌とか張芸謀
とか田壮壮、李小紅とか書いてある。
俄然、興味が湧いて読んで見ました。
非常に面白い。一気に読んでしまいました。
中国では、近年でも文革という強烈な破壊と破滅の時代がありました。
その暗くて長い時代が終わった1977年。「北京電影学院」が再開される
ことになったのです。
その78年の第一期の入学生達が、将に第五世代と言われる映画人達なのです。
なんと、張芸謀は年齢制限をオーバーして一度は入学を拒否されそうに
なりながらも才能を認められて撮影学科に特例として入学できたのだそうです。
そういう人達が、北京郊外、「朱辛荘」の学舎に集った青春の物語。
それから、卒業後、僻地とも言える延安の「広西映画製作所」に配属
された、張軍釗、張芸謀、尚風、何群達が「一人と八人」を作り、
更に陳凱歌、張芸某、何群達で「黄色い大地」を作って世に出て行く。
そして世界の注目を浴びていく。
それから、「赤いコーリャン」が生まれる。
そういう中国の近代映画の再興時の熱い時代の奮闘が生き生きと書かれて
います。
こういっては何だけど、今年の芥川賞の作品よりは遥かに面白かったと言えます。
作者は当時の北京電影学院、主任倪震(ニーチェン)先生です。
毎週木曜は、映画、音楽、書画に関する話です。