最近読んだ本、「台湾漫遊鉄道のふたり」、「箱男」。

  • 2023年9月6日
  • 24人

「台湾漫遊鉄道のふたり」。

楊双子 著。

あじあん

「万巻の書を読み万里の道を行く」

昭和の頃の話だ。まだ台湾が日本統治下だった頃の話。

この時代にあって自由奔放な女性千鶴子は、我が身を持て余してる。結婚はしたくない。周りはうるさくてしょうがない。何をしても干渉がある。どっかへ逃げたい。

しかし、流行作家になってしまった今、自由がきかへん。

さて、もっけの幸か、台湾旅行が降ってわいた。

台湾在住の日本人社会から後援依頼があったのだ。

さっそく台湾へ。

さっそく飛び跳ねたいけど、大作家が来たからにはと向こうも接待に手ぐすねを引いている。

なんとか自由を。

画策するうちに、通訳の王千鶴と親しくなった。彼女に専属の通訳兼案内人となってもらう。

接待の隙を盗んで二人の台湾珍道中が始まるのだ。

鉄道に乗って、美味しいモンを食いに行く。

なんと素晴らしい。

しかも千鶴さんは台湾の地の料理、昔ながらの食べ物にめっぽう詳しいのだ。

しかも誰に習ったか、料理の名人ではないか。

食いもんの事なら負けてはならじと千津子女子も大張り切り。

食いもんもええけど、温泉も良い。

台湾の歴史を物語るとこも行きたい。

鉄道の旅がとても楽しい。

その頃の台湾が立ち上がる。

すばらしい。

しかし、千鶴子と千鶴、とても仲がいいのに、どこかギクシャク。

千鶴の心に何かが鬱屈してる。

天真爛漫な千鶴子は気が付かない。

しかし、その頃の、日本人と台湾人の間にあるもの。

心の中にあるもの。

個人的には何も差別的な感情を持ってなくても、心の中に染み付いたものがあるのか?

それは何なのか?

国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差―――

どうすればハードルを取り除けるのか?

さて、千鶴子はどうする。千鶴はどうなる?

二人の旅は?

いろんな名言、格言などがでてくるのも楽しい。

目次はこんなの。

1 瓜子 瓜の種

2 米篩目

3 麻薏湯 黄麻の葉のスープ

4 生魚片

5 肉燥(月篇) 肉の旨煮

6 冬瓜茶 冬瓜の甘いお茶

7 咖 カレー

8 寿喜焼 すき焼き

9 菜尾湯 〆のスープ

10 兜麺 五目寄せ餅

11 鹹蛋糕 しょっぱいケーキ

12 蜜豆冰 氷蜜豆

台湾の美味いモンの話が満載だ。

とても興味深い。

夢中で読んでしまう。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ

「箱男」。

安部公房。

あじあん

都市には異端の臭いがたちこめている。

都市には異端の臭いがたちこめている。人は自由な参加の機会を求め、永遠の不在証明を夢見るのだ。そこでダンボールの箱にもぐり込む者が現れたりする。かぶったとたんに、誰でもない存在になってしまえるのだ。・・・・・・・

ーーーー著者箱書きより。

とても古い本だ。1975年にこれを読んだって本に記入してあった。50年ちかいなあ。

ふと思いついて、読んでみた。

なんで思いついたかと言うと、先日、「ハンチバック」という本を読んでぶっ飛んだという話をした。その時に、なぜかこの本を思い出したのだ。

不自由な存在から非存在の視点にうつしてモノを見る。

誰もが見れへん世界を見せる? これでもかと止めを刺して見せる・・・

「箱男」をあらためて読み直して。

やっぱりすごい。

強烈だ。

全然古臭くない。新鮮に読んでしまう。箱男の魅力健在だ。

ある日、突然、ある男が箱に入る。箱男誕生だ。

しかし、世の中には箱男が他にもいるようなのだ。

どんな箱がいいのか? どうやって箱を作る? 快適な箱とは?

快適な箱暮らしとは?

どうやって暮らす。何を手元に?

あらゆるノウハウが詰まったのがこの箱なのだ。

そして、ある日、わしが襲われた。

そして、ある日、箱を買うという人間が現れた。

なぜ? 何のために? 誰が?

そして偽箱男登場。

?どっちが本物?

すべては箱男がノートに書いてる?

とても面白い。

あらためて素晴らしい。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

あじあん

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