ジャック・ケルアック、「オン・ザ・ロード スクロール版」
実に痛快、わくわくする本だ。とても私が生まれる前に書かれた本とは思えない。
この手にわずかな金があったら、それをつかんでロードに出よう。
バスに乗ったらどこまでも行ける。
バス代がなくなったらヒッチハイクすればいいじゃないか。
どっかに行ったら、誰か友達がいるし、それで少し金を借りたら良いじゃないか。
金を借りられなきゃ、ちょっと働いたいいじゃないか。
それで又、ロードにでよう。
話は、緊迫感に満ちている。道が前へ前へと進むように、この書かれた紙も
前にすすむ。小説ではない、物語りですらない。ひたすら前に進むのだ。
その気分のままに果てしなくロール状に書き下ろされていくのだ。
ニューヨークからデンバーまで、更にカリフォルニアまで、
行ったり帰ったり、気持ちは常に、「ロードへ!」なのだ。
こんな人は、このあとどんな暮らしをするのだろう。
そっちの方が気になる。
佐々木丞平、佐々木正子、小林恭二、野中昭夫、「蕪村、放浪する「文人」」
表紙に与謝蕪村の「夜色楼台図」がある。
これだけでこの本を読んでしまった。
こんな画を描ける人はすばらしい。京の町屋にしんしんと雪が降る。
夜が更けてきた。遠くの山の稜線が月明かりにきりりとしている。
家々はしずかだ。ほんのりと灯りがともっていて人の暮らしのぬくもりが
心を打つ。
蕪村は私の大好きな画家だ。文人としての生き様も大好きだ。
飄々洒脱な感覚が感じられる。
この本を読むと、少ししか知らなかった蕪村の句の世界が大きく広がって、
まるで画を見ているようだ。
みじか夜や枕にちかき銀屏風
狩衣の袖の裏這う蛍かな
山暮れて紅葉の朱を奮ひけり
宿かさぬ燈影や雪の家つづき
牡丹散て打ちかさなりぬ二三片
メモしてたらノートが一杯になってしまった。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。