最近読んだ本、「ある男」、「サイゴン陥落の日に」

  • 2020年4月8日

平野啓一郎、「ある男」

見ず知らずの他人になりきって生きるってどういうことになるんやろ?
そんなことってできるんやろか?
戸籍を売ってくれる、あるいは交換してくれるビジネスがあるらしい。もちろん
それはフィクションの話。でも本当にありそう。
それにのったらいったいどうなる?
確かにリセットしてみたい人生ってあるかもしれん。しかし、その後の人生と
その前の人生が自分の中でどんな亀裂を生むのか? あるいはそれでも幸せになれるのか?
自己崩壊はしないのか? 新たな人格として再生できるのか?
どうなんやろ?
ある日、バーで出会った不思議な男。私は嘘つきなんです。
他人の傷を生きることで、自分自身を保っているんです。
谷口大祐という男がいた。彼の描く素直な静かなスケッチ画が印象的だった。
文房具屋の里枝ちゃんは彼が気に入ったもよう。
いつしか恋に落ちて結婚。
ところがある日、悲劇が。
そしてさらに衝撃の事実が。いや本当に事実なのか? ではいったい谷口大輔とは何者なのか?
誰の戸籍がどう入れ替わったというのか?
何の為に?
後藤美涼が作るウォッカギムレットはとても美味しいらしい。
わしも飲んでみたい。
とても面白い。

中山夏樹、「サイゴン陥落の日に」

表題に惹かれて読み始めた。
あの劇的なサイゴン陥落の日の事はいろんな人がいろんな作品に描いている。
その多くは西側の通信社に所属する特派員だったり、それに関連して行っていた
作家だったりだ。陥落の日までの政府軍とベトコン、北ベトナム正規軍などとの
緊迫した戦闘や駆け引きが人々の悲劇とともに克明に書き綴られている。
最近読んで気になってるのは、サイゴン陥落の日のその後の話だ。
南ベトナム政府が倒れて、すぐに自由で平和な日々が訪れたのではなさそうだ。
その後に何が起こったのか? 復讐か? 粛清か?
元南ベトナム政府の関係者、その家族、何もない人民たちが酷い目にあったり
殺されたりしたらしい。
ボートピープルが発生したのもそのころらしい。その悲劇たるや目を覆うばかりの
悲惨さが描かれた本もある。
これはそういう話とは全く違う。
清水哲郎と高橋真紀とベトナム人留学生ラム・ティ・フーンはあることがきっかけで
無二の親友になった。楽しい日々。愛と苦悩?
そしてある日、別れがやってきた。南ベトナム崩壊によって留学生の行き場がなくなって
カナダに移住することになった。3人はそれぞれの道へ。
40年後の再会を約束して。
果たして、現れるのか?
・西北の地から
五百万円ためて放浪の旅に出ようとしていた僕はまさか、源爺の介護をすることに
なるとは。
彼は末期の肺癌で認知症もある花子婆も認知症暮らし。
様々なゴタゴタが。そして源爺から預かったノートの中身は驚くべきものだった。
満洲の獣医軍人暮らしとカダラの街でのシベリア抑留の悲惨さが克明に描かれている。
さて・・・・・・。
・水辺の周回路
ある日、突然、川上大介に電話がかかってきた。
産みの母が危篤やから来てくれないかという。
私は祖父母に育てられた。母は? 父の浮気、離婚、アル中で子を捨てた。
どんな事情があっても許せない。
しかし、とうとう葬儀に参列、そこで明かされる驚愕の真実とは。

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