最近夢中で読んだ本、グレアム・グリーン

  • 2006年12月26日
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グレアム・グリーン 「おとなしいアメリカ人」
これは、本当にすばらしい本です。久々に良いものを読みました。
舞台は、ベトナム領時代のサイゴンです。(今のホーチミン)
帰国命令がでた英国の報道特派員。彼は、付き合っている彼女との間をなんとか決着をつけないといけない。
その頃現れたアメリカの領事館関係の男。この男の言動を通して、痛烈なアメリカのベトナム政策が批判されています。彼はアメリカそのものなのです。その彼に女を奪われ、初めて女が自分にとって何だったのかを考えます。女の愛は何だったのだろう。
「ものを買い与える、何がしかの援助をする・・・。これほどの大きなものをもたらしてくれる事にたいして答える愛が、女の愛の形か?」
それなら、それでいいではないか。
それをそのままうけいれるのも一つの愛の形ではないか。
こんな事、今のホーチミンでも、北京でも、上海でも、バンコクでも、どこでもあります。深かーーい話になりますよね。
・・・きっと。

「上海狂想曲」
大戦前、上海事変の頃の上海の日本人を描いています。
戦争のどさくさの間に広げられていく日本人租界の暮らし、上海を訪れる文人達の行動や記録などを通して、あの頃の上海を舞台にした、物狂いはなんだったのかを切り出そうとしています。前回、書いた「わたしたちが孤児だった頃」と殆ど同じ時代の話なので、興味は続いています。

結局は旅人であり、通行人でしかあり得ない自分の事を重ねると、いろんな思いがよぎるのであります。

hon061226

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