最近夢中で読んだ本、アゴタ・クリストフ、濱本高明

  • 2008年11月18日
  • 2人
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アゴタ・クリストフ、「悪童日記」
最初は何となく青春小説風な作品を想像していた。
しかし、全然違った。
すごくシュールで不条理感に満ち満ちた内容だ。
戦乱の中、母親に連れられて双子の兄弟が祖母のところに疎開してくる。
祖母は二人を「牝犬の子」とののしり、こき使う。
村人は祖母を「悪魔」と呼ぶ。その夫を毒殺したという噂が消えない。
飢餓と暴力と戦乱の中を二人はクールにエキセントリックに切り抜けていく。
祖母はどうして死んだ?
どうして屋根裏部屋に女と子供の骸骨が飾られているの?
父親の屍を乗り越えて、二人の内の一人はどこに行ったの?
3部作だと言う。次を読むのがとても楽しみだ。

濱本高明、「江東風俗二十帖」
今はもう消えようとしている、東京の古い下町風情をすこしずつ切り取って
見せてくれている。
江東、江戸川、足立、葛飾。
こういうところから、志賀直哉の「小僧の神様」にでてきたシーンや、永井荷風
の墨東綺譚にでてきた女の話など、そんな風景も交えながら、風景と人情を淡々
と語って好印象の本だ。
こういう本の大阪版も欲しいものだと思う。

hon081118

毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。