最近読んだ本、「浄瑠璃を読もう」

  • 2013年2月7日
  • 2人
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橋本治、「浄瑠璃を読もう」
この本非常に面白かった。教えてくれた人に感謝しないといけない。
目から鱗とはこのことだ。
去年の暮れに、文楽、「仮名手本忠臣蔵」と通し狂言を見た。
初めて通しで見たので、その長いのに驚ろきもしたが感動することはあっても
退屈することはなかった。全体を通して見たんで話の流れもよく理解できた。
なるほどこういう話やったんかとよくわかった。しかし、何でこういう話が出
来たんかというのはもひとつしっくりわからなかった。わかりきった歴史上の
話をわざわざ設定を変えて、それで何を言いたいんかようわからんかった。
歴史を掘り下げたいんか、何かを風刺したいんか、何やろ?
そんなんと全然ちゃうかった。
歴史上の出来事、それはそのままに、そのまわりにうごめく人たち、実在なの
か創作なのかはどうでもいいことで、こんな人ほんまにおったんかいなと言わ
んばかりの人が独特のキャラクターをひっさげて、歴史とはまた一味違った世
界に我々を連れて行ってくれるのだった。
例えば、松の廊下で刃傷してる人を抱きとめた男に焦点をあてたらどうなるか?
例えば、平家物語の続編を源氏からみたらどうなるか?
そう言えば、前に「菅原伝授手習鑑」を見たときに何が難やらわからんかった。
何で菅原道真の子供が首を切られんとあかんという話になるんやろ?
何で寺子屋での手習いが大きな問題なんやろ?
これを読むとよくわかる。
「冥途の飛脚」を見たときもそうだった。
真面目で勤勉な男が、ふとしたことで世の中の不条理に巻き込まれ、心中せな
あかんようになってしまうという大悲劇かと思って見ててもどうもおかしい。
あほな男の当然の身の破滅やんかと思ってたらそれでよかったのだ。
複雑な歴史の物語なんかの足元をうまく踏み変えて、恋する女とどろどろの人
情話に作り上げてる。なんとおもしろい。
そやから、この時代の人たちのこういう演芸にこめた企みのすごさとおもしろ
さがよくわかるし、こういうものを産み出した上方文化の底の厚さ、力強さが
あったことを嬉しく思った。
こんな土壌って、それぞれを市場原理、競争原理にさらして存在価値を計るし
かないちゅうような考え方の中では育たないんとちゃうやろか?
何か方向が違うよということもありそうやんかと昨今のニュースなどを見なが
ら思うことがある。

それはさておき、先日、台南に旅行した時(この話は後日のブログをお楽しみ
に)鄭成功の史跡に行った。
これってあの「国姓爺合戦」の和藤内の話やんか。
どんな風に化けてんのか是非、文楽で見てみたい。
「妹背山女庭訓」の妹背山は我が故郷、和歌山にある。時々見ながら通る所や
んか。複雑な大和朝廷の権力あらそいが、どんな恋と人情話になってるんやら
是非見てみたい。
文楽の楽しみが大いに増えたのだ。

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ありがとうございました。