東
山彰良、「夜汐」
この作家の「流」や「僕が殺した人僕を殺した人」はとても良かった。この人の本が
でたらすぐに読みたくなるほどだ。そんなわけで新しいかどうかはわからんけど
図書館で見つけたんで読んでみた。
これはちょっと意表をつかれた。台湾の作家って思ってたんし、台湾が舞台の作品に
惹かれれてたんでまさか日本のそれも幕末が舞台とはまさかの展開。
それでもとてもおもしろかった。
尊皇攘夷の嵐が吹き始めた頃のことだ。江戸の郊外?
ある家で賭場が立った。どうも闇の賭場らしい。
そこへ銃を持ったチンピラたちが乱入、テラ銭を奪っていった。
縄張りを荒らされた蕎麦屋の曲三は金を持って逃げたらしいイタチの亀吉と
ウサギの蓮八に刺客を差し向ける。
刺客は「夜汐」と呼ばれる男。今までしくじったことはない。
だれも素性は知らない謎の男。悪魔が憑いている? 闇の狼が憑いている?
盗んだ金の使いみちは亀吉の姉の身請けだ。無事終わった?
誰も知らない田舎でのんびり暮らし?
それで終わりではない。闇の刺客が・・・・。
蓮八は江戸にはいられない。攘夷の浪士に紛れ込んで京へ。
そして尊皇攘夷の嵐の中へ。
亀吉の運命は?
蓮八は生き延びられるのか?
居酒屋とっつあんは無事なのか?
舞台は京都、新選組誕生前夜。
隊士にまざって何が起きる?
夜汐の抱える闇とは。
とても面白い。
川本三郎、「台湾、ローカル線、そして荷風」
題につられてしまった。作者は映画や書き鉄の世界で著名な人らしい。
そのひとが台湾のローカル線について書いてるんやったらさぞかし期待がもてるやろと
勇んで読み始めた。
そしたらえらいがっかり、確かに、ここに出てくる台湾作家って、読んだことがあるし
大好きな人達、そして「神秘列車」、「歩道橋の魔術師」などに出てくる昔の台湾の
町って、とても魅力的で行ってみたいとおもうようなとこばっかりだ。
もしかしたらこれは筆の力によるもので、実際に行ってみたらそれほどでもない、あるいは
もう変わってしまって昔を偲ぶ縁もないということかもしれんけど、それはそれで
しかたないにしてもそういう風なことを実際に行ってどんなだったかを一杯教えてもらえると
思ってたら、ちょびっとしか出て来いへんではないか。
がっかりやなあ。
だいぶ前に台中でローカル線の列車に乗ったことがある。
集集や彰化の町は日本の昭和を思わせるようなええ感じのとこやった。
その後、台湾1周列車の旅も行ったことがある。
右回りの旅だ。
台南からあとは在来線で東海岸を走る。
とても良い旅立った。窓外は海岸線が多くてとても美しく、台東や花連の街もたっぷり楽しんだ。
また今度、色んな情報を仕入れておいて行ってみたいものだ。
この本に出てくる、日影丈吉という作家の「応家の人々」というのは台湾を舞台に
したミステリーらしい。是非読んでみたい。
そういう収穫はあった。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。