古内一絵、「マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ」
ドラァグクイーンとかいう言葉をこの本で始めて知った。
都内から電車で少々の距離、ちょっとした裏町のちょっとした裏通り、ゴチャゴチャした
住宅が並んだその一角にハナミズキが咲く中庭があって、夜になると人知れず
店を開くカフェがある。店の名は「マカン・マラン」。
そこはある種のトランスジェンダーたちの憩いの場であると同時に心に傷を負った
人の癒やしの場であったり、常連さんではなくても何かの事情で彷徨いこんだ人でも
受け入れてくれるような不思議なカフェであるらしい。
何故か?
そこの妖艶なママ? シャール。いや、筋骨隆々のかっこいい男性?
彼女?がつくるオシャレな賄い料理が魔法の癒やし料理なのだ。それを求めて
夜な夜な心癒されない男や女、老いたのも若いのも引き寄せられるようにここに
集まってくる。
そして事件も。
第一話 春のキャセロール
ライターの城之崎塔子は行き詰まっているようだ。仕事はできる、アイデアは
あるはずなのに、頑張っても頑張ってもどうにもならん。
ある日、貧血で倒れそうになって・・・
第二話 金のお米パン
シャールの元同級生は中学校の先生だ。その生徒の様子が可怪しい。
何故母親のご飯を食べない? 謎が震災にまで遡る・・・?
第三話 世界で一番女王なサラダ
隠れ家カフェを見つけて取材する。そのアイデアに夢中になってる宮武さくら。
しかし、下請けライターは某大手広告代理店の下働き、悔しいことばかり。
「マカン・マラン」は見つかるのか?
第四話 大晦日のアドベントスープ
もしかしたら、「マカン・マラン」が存続に危機なのか?
近辺を地上げ屋が暗躍してるみたい。
はみだしモノたちのオアシスは大丈夫なのか?
川本三郎、「あの映画に、この鉄道」
始めて読んだけどこの作家は鉄道旅の紀行文なんかで有名な人なんやろか?
手慣れた語りで、読者を北海道から東北、関東、東海、甲信、・・・・近畿、
中国、四国、九州。日本全国、鉄っちゃんの旅に連れて行ってくれる。
旅の目的地は鉄道と駅だ。それも、この駅は、この映画に出てきたというよりは
あの映画の忘れられないあの場面で、あの駅があんな具合に使われてた。
なるほど、そうか、行きたい。そういう感じだ。しかももう既に廃線、廃駅になってしまってて
見ることが出来ない。見られるのは映画の中でだけというのがこれ又素晴らしい。
そうやって又映画ファンが増えていくのだ。
旅の大部分は「寅さん」シリーズで埋められている。
日本で一番のロードムービーやからしょうがない。わしはそんなに好きではなかったけど
こういう見方で見れば見てみたいところがたくさんある。
他にも映画に素人のわしではあるけど、こんな知識があれば見てみたいとおもう映画は
沢山あった。
そう言えば最近映画を見てないなあ。内容を気にするのもええんやけど、こんなふうに
鉄道と駅に焦点をあててゆるりと景色を楽しむ気分で映画を見てみるのもええもんかも
しれんと分かった。
こんど試してみよう。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。