伊坂幸太郎、「死神の浮力」
たまたま読む本がなくなって図書館をうろついていたら、この本を見つけた。
特に期待はしないで読み始めた。
最初はけったいな違和感がある。何? 死神が出てくる? 超能力もあるんか?
わけわからんなあって思いながらも読んで行く。
だんだん惹きつけられてきた。
山野辺は作家だ。ある日突然不幸に見舞われた。娘が殺されたのだ。犯人は
すぐに捕まったが、有罪になるかどうかわからない。渦中の彼の家をマスコミが
取り囲む。犯人は一筋縄ではいかないやつらしい。
世の中には25人に1人良心のないやつがいる。その男がそうらしい。サイコパス
として支配ゲームを楽しんでるようでもある。罪を逃れるのは計算の上、予定通り
なのか? 悔しい。何とかならんのか?
幼稚園時代の友人と称して呼び鈴を押した千葉という男は何者なのか?
変哲も無い風貌で不思議な力を持っているようでもある。敵でなければ味方なのか?
殺人者は娘を殺しただけではあきたらないのか?
編集者は山野辺にお前の小説、ハッピーエンドはおもろないという。してみれば、
この話も見えてくる。
サイコ男が勝つのか? 山野辺が勝つのか? 死神はどう判断するのか?
なるほどそうくるかと予想外の展開もある。 次はどうなる? と、どうしても
早く先が知りたくなる。
とても面白い本であった。
山中千尋、「ジャズのある風景」
これも上記と同じ時に見つけた本。ジャズはとても好きな音楽のジャンルだ。
でも最近のジャズってどうなってんやろと思ってたところだ。
わしらが若い頃は、ジョン・コルトレーン全盛の時代だ。ジャズ喫茶に行ったら
大音量で巨大スピーカがうなるのをじっとうなだれてひたすら聞いていた。
そんなんが一つのスタイルやったんかもしれん。下宿に戻ったら、安物のレコード
プレーヤーをラジオに直結して歪みながらも大きな音を鳴らしてた。
友達に発狂しそうやからやめてくれって言われるのがかえって得意であるような
アホな暮らしの中でもどんどん変わっていくジャズのスタイルがどこまで行く
んやろって興奮してた。
しかし、それから何十年も経ったのにジャズの世界ってほとんど変わってへん
のとちゃうやろかと思ったりしてる。クールな演奏、上手な演奏、ノリノリの
演奏、いろんなのに出会うけど、びっくりするようなことはなかったのはわし
の守備範囲が狭すぎるせいなんやろなあって思ってた。
今まで読んだジャズの本も聴くプロの方が書いたばっかりやったんで、知識の
ないわしにはあんまり入り込めへんものが多かったような気がする。
この本は、演奏家でもある視点で、ジャズの評論というよりはジャズに纏わる
よもやま話的な内容なんで、とても面白く入っていけた。
なるほど、そういう聴き方をすればいいのかと思うことも多々あった。
何人か気になったひとの音楽を聴いてみたいと思った。
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ありがとうございました。