石川淳、「狂風記」上、下
これもたまたま古本屋で見つけた本だ。最近、古本屋で良い本に出会う
機会が多い。お金の節約の為でもあるし、新作に読みたい本が沢山ある
わけでもないので丁度いいのだ。
なんといふ木か、途方もなく大きい木が一本、もろに横だふしに、
地ひびき打つて・・・
こんな出だしで始まる。すさまじい力の文章が、強烈な毒気と共に
眼前に現れて、「ぐわっ」とばかりに吹き付けてくる。
そんな世界にいきなり引き込まれてしまう。
舞台は、ゴミの山。そこにうごめく魑魅魍魎。
その魂を支配するのは、神代の呪いをひきずったイチノベノオシハノミコ
の末裔か。
女は又、市中引き回し、磔、火あぶりの魔性の業女の生まれ変わりと言える。
妖界、冥界、此の世の中、途方も無い時と空間を駆け巡り、いったい何と
闘う?何を退治する?
あの死体はどうなった?
巨魁の魔力に勝てるのか?
痛快無比!
ことばの魔力極まれり!
すべて旧かなづかひといふのがまた良い。
凄い本です。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。