九度山暮らしのある日、ある日、突然、ガン患者になってしまった話−6、病棟の朝。

病棟の朝。

朝は6時起床。
爽やかな音楽がなって電気が点く。一斉にざわめきが。朝からスタッフや看護師さんたちが
忙しく動き回ってる。体温や血圧を測ったり、体調を見に来たり、トイレの世話や薬の
チェック、それから食事の配膳、この活気と賑わいに元気を貰える。
それに比べて患者さんたちは皆さん静かにうなだれている。
ばっかりではない。歯を磨く人もいれば、トイレに行く人もいてるし、散歩するひともいてる。
朝ごはんをペロッと食べてしまう人もいてるし、副作用のせいか全く食べられへん人もいてる。
わしはまだ流動食、時計をみながらチビチビ食べる。
今日も一日が始まったのだ。

受け入れがたい運命もあれば、じっと耐えるしかない運命もある。
希望もあれば不安もある。
いずれにしろ自分ではどうにもならん。
これもまた通りすがりに耳に入ってきた話。
あるガン患者がいてる。どうも睾丸とかそのあたりのガンに冒されているらしい。
ステージで言うとどんなんかわからんけどあまり容易ではなさそうな状態と推察する。
どうも2度めの入院らしい。
そろそろ抗ガン剤に加えて放射線治療も計画されているらしい。
日々の暮らしの多くは痛み止めの頓服(レスキューって言ってる)をどうコントロールして
いくかということにかまけてるようでもある。
1回飲んだら6時間あけんとあかん、痛みはいつくるか?
しかも、現役バリバリの年代だ。ベッドでもパソコンを駆使して仕事をしてはる。
音楽関係のクリエイター? わからんけど、今回の仕事はうまくいったとか漏れ聞こえてくる。
仕事の収入とか、病院の費用とか、家族の暮らしとかいろんなことに気を配っても
いてはるみたい。
なんという集中力、なんという忍耐力、精神力。
恐れ入るではないか。
病気なった、ガンになった、という事実だけで惨めにへこんで挫けてしまいそうなのに
すごい人やなあって、そう思う。
更に凄い。
投与されるすべての薬が、どれがどう効いたか、効かなかったか、体にダメージがあったかどうか
等など写真を撮るとともにエクセルかなんかに記録してはるみたいなのだ。
なんとか、病と薬と妥協しつつ、一番良い状態で仕事も生きることも続けようという
強い意思が感じられる。
まあ、これは看護師さんや先生との会話などから漏れ聞こえてくることから妄想を
積み上げただけなんやけど、大きくは外れてないように思う。
何にしても凄い精神力だ。気の小さいわしにはとても考えられへん。
その気力で病に打ち勝っていただきたい。
さて、わしはというと、無くなった胃とどう折合いをつけていくかと言う練習に
なる。
流動食が2日続いて、こんどは三分粥になった。

少し進んだ。
五分粥がちゃんと食べられたら点滴がはずれるのだそうだ。
頑張ろう。

時間をかけてちょっとずつ食う。
先は長いなあ。

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ありがとうございました。