A・J・フィン、「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」 上、下。
とても面白い。いきなり映画の中の世界に入り込んだかのようだ。あっと驚く意外な
事実。意外な展開。手に汗握る波乱、迫りくる危機、理不尽な圧力。
思わず主人公と一緒に戦っているような、時に信じて、時にあきらめて、なるほど
やっぱりそうか。
ニューヨーク、ハーレム、高級住宅街、約340万ドル屋上庭園付き古いタウンハウスに
住むアナ・フォックス。彼女は精神分析医だ。夫、娘と別居中。寂しい暮らしだ。
その上、どうやら彼女は引きこもり、ワインとニコンD5500を片手に家から一歩も
外に出られない。
ワインを飲みだしたら止まらない。朝からボトルを空けていく。ニコンの望遠には
ご近所の暮らしがあからさまに写っている。
そんな暮らしの中でも、ネットを通してなら心療セラピストの活動はうまくいってる
みたいだ顔の見えない相手だとうまくいく。夫エドや娘オリヴィアともネットでは繋がってるみたい。
彼女の家の地下の部屋には間借り人もいる。デヴィッドと言うハンサムな男。
そして、ある日、向かいの家の息子と友達になる。
そして、ある日、その息子の母親が訪ねて来た。
そして、ある日、事件が起こる。
その向かいの家で女が刺されるのを目撃してしまったのだ。きっと母親だ。
パニックになったアナは警察を呼ぶ。しかし、事件は起きてない。
母親は元気で居る? ? 違う女ではないか?
しかし、その夫も息子もこの人が母親に間違いないという。
私が会った女は誰なのか? 母親とは誰なのか?警察はアナの正気を疑う。
誰も信じてくれない。
本当にアナが錯乱しているのか? そしてまだまだ事件は起こる。
アナの周りは危険だらけだ。
ところでエドって本当に居るの? オリヴィアって本当に居るの?
周りは誰も信じてくれない、気が狂いそうだ。ネットの上だけが真実なのか?
彼女が適応障害になったのはなぜか? 深い闇があるのか?
向かいの家の家族に闇があるのか?
みんなグルなのか?
必死に謎を解こうとするアナ。 頑張れアナ。
狂ってるの自分か?、他人か?
本当に悪いやつは誰か?
彼は見方か敵か? 彼女は信じられるのか? 雪の降りしきる道で何が起こったのか?
心療治療って?
とても面白い。ワクワクドキドキ、一気に読んでしまった。
この本のもう一つの魅力は映画だ。飲んだくれの引きこもりの覗きおばさんの主人公は
家の中でひたすら映画をみてる。そのなかの出来事が現実の事件と重なり合って複雑な
模様を作っていく。60本以上の映画が描写されてるんかな?映画好きにはとても面白い
やろうと思う。
木下昌輝、「金剛の塔」
聖徳太子が建てたという四天王寺の五重塔の物語。
戦火や落雷、地震による火事などを経て何度も建て替えられた塔にまつわる話だ。
日本古来の伝統工法がどのようなものか? 火事で焼けることはあってもどんな地震が
きても倒れることがなかったのはなぜか?
元々、中国を経て、朝鮮半島から日本に渡来した技術であり、渡来した技術者の
為せる技であったものが四天王寺始め他の寺に残る、五重塔、三重塔などなどに
日本独自の工法と様式美として完成されていったのはなぜなのか?
そんな謎に迫ったり、迫らなかったり。
伝統工法の不思議さと素晴らしさを追求したりしなかったり、
そのために時空を駆け巡ったり、駆け巡らなかったり。
聖徳太子の謎も解き明かされた。
テーマはとても面白くて興味があるけど、なんとなくツッコミと詰めが中途半端な気がして
もやもやする。
こんなに地震や災害が身の回りに多い国に住んでて、それに対する知恵も蓄積されてた
はずやのに、そういう木造建築の歴史を捨てて、コンクリートガチガチの街づくりに
走ってきたわしらの暮らしはそろそろ見直すべきなんとちゃうやろか?
あちこちに壊すに壊せない、中途半端なガチガチ建物が無人で取り残される事態は
ますます酷くなって、いつかそんな廃墟まみれの中で竪穴横穴くらしをせんとあかんような
時代をつくってしまうんとちゃうやろか?
恐ろしいなあ。
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ありがとうございました。