アゴタ・クリストフ、「二人の証拠」
「悪童日記」が強烈だったので、3部作の残りを一気に読んでしまった。
双子のうち一人は行ってしまった。残ったのはリュカだ。
えっクラウスなんていなかったの?
そして、抱え込んだのはヤスミーヌとマティウスの母子、哀れみなのか、心の分身なのか。
話は続いているような、続いてないような。
事象は非連続で、思象は連続しているかのように見える。
リュカは本当にクララを愛したのか?
そして、クラウスは帰って来た?本当に?
そしたらリュカは何処へ行った?
相変わらず実に面白い。3部目が楽しみだ。
シュールな作品だ。
開高健、「ちくま日本文学」
流亡記、二重壁など短編集。
久しぶりに開高健を読んだ。まだ未発表の短編があったのか、再構成したのか、
冒頭2作を初め殆どはまだ読んでない作品だった。
流亡記、先日行った、山西省の貧しく荒涼とした野原と家々や、以前北京で訪れた
万里の長城の執拗なまでの徹底さ。
それに、敦煌やトルファンの西域の砂漠など、中国の風景が目の前に蘇ってきた。
歴史があって、英雄がいて、どうしようもない世の流れの奔流があったとしても、
一人一人はおのれの人生を生きていくしかない。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。