水墨画とほぼ同時期に篆刻も習い初めていた。
画の方もなかなか上手にならないが、篆刻は更に酷いものだ。
篆刻というのは、味のある字を裏向きに書けて、その字を
味好く彫れて初めて出来上がるのだが、裏字はおろか、表字も
ちゃんと書けないのがなさけない。
老師は普通の漢字を見ただけで、篆字を思い浮かべて、しかも
そのまま、裏字で書いてしまう。恐るべしだ。
よく篆刻の本にあるように、紙に書いて、裏返して、それを
石に転写するような面倒な事はしない。
それで、字も練習しながらではあるが、時には師の画いた字を
そのまま彫り、時には師の字を真似て画き、時に自分で篆字を
調べて書くというやり方で彫っている。
道具は簡単だ。
石は日本で買うと高いので、中国に行った時に買う事にしている。
ガラスにサンドペーパを敷いて、石の表面を平らにする。
平面度が大事なのでガラスを使うとやり易い。最近は厚手のガラスが
ないのでガラス屋に特別注文した。
荒仕上げの後、1000番位のサンドペーパで仕上げをして表面に
傷がないようにしないといけない。
準備はそれだけ。石に字を書いて刀で彫る。
刀は中国で買ったものだ、いろいろ使ってみるが、なかなかしっくり
あったのが見つからない。老師のように、味がでるところまで
字を彫りだすのは何時になったらできるのだろう。
細くて大胆な線が出ないんだよなあ。
時々歯ブラシでゴミをとりながら、朱泥で押してみて確認する。
この朱泥も中国で買ったものだ。朱泥は中国のものが安いし、色も
良い。品質も悪くないので愛用している。
こういう道具を見つけて買って帰るのも中国の旅の楽しみの一つだ。
道具はこんなの。
途中の刻印。まだまだ時間がかかるね。
毎週月曜はこだわりのモノの話です。