最近夢中になって読んだ本、春江一也、徳齢

  • 2009年9月15日
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この作者の「プラハの春」を読んだ事がある。東西体制崩壊前の頃のチェコ
ドイツ国境を舞台にしたスパイアクションも入った推理小説で、元外交官
だったという著者の専門知識がふんだんに入って面白い本だった。
こんどは、今話題の中国でも西の果て、ウルムチが舞台だ。
トルキスタンの独立運動の志士も出てくる。大分前の本なのに全く今現在
起こっている事のようだ。あの地にはそれだけ長く根が深い問題を抱えて
いるのだろう。そして、隠された原爆実験の地でもあった。
そして舞台は9.11直前のアメリカから上海へと移っていく。
青幇、法輪巧の裏組織、中国の一党独裁の腐敗など、まさにいまもって
リアルに思える中国の話だ。
上海の里弄を舞台にしたアクションも面白い。
映画にしたら楽しいだろう。
外から見た中国という印象でもああるが、巨大な国がずっと抱えて続けている
問題を考えさせられる作品だ。

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徳齢、「西太后汽車に乗る」
実に興味がある内容だ。
浅田次郎の「蒼穹の昴」シリーズに英語、フランス語を自由に話し、
アメリカ人の新聞記者とつきあっている西太后の姪が登場するが、多分この
作者がモデルではないかと想像される。
西太后の姪でアメリカの外交官と結婚した人だそうだ。
その人の思い出し話として書かれた本だ。
西太后の一面が如実に現れた愉快な話だ。
急に思い立って、瀋陽(当時の奉天)にある、清朝発祥の故宮に行幸する事
になる。早速お召列車が仕立てられた。
落ちぶれかけたとは言え、大帝国の皇帝の移動だ。
列車の中とは言え1回百皿の帝王料理。竈だけの専用車両があって、
50台の竈が並んでいて、それぞれに料理人がついている。
着替えとなれば、これまた専用車両から運んでくる。
おつきの人は横になっては眠れない。
北京から天津、瀋陽へと実にゆっくりゆっくりと進んでいく。
帝王は気難しい。まわりはてんやわんや。
こんな時代もあったのだ。

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毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。