昔から、「越の寒梅」とか「寒中梅」とかは幻の銘酒として珍重されてきた。
以前に、梅田のある酒屋で、「越の寒梅」が注文できるという事で、毎年
1年くらい前から、予約ノートの書き込んでおいて、入荷したらいそいそと買いに
行っていた時期もあった。そうして、漸く手に入れた「越の寒梅」もそれほど
美味と言うわけではなくて、漸く手に入れたありがたさだけで喜んでいたような
ものだった。その後は分をわきまえて、酒などはある程度、手に入るものだけを
飲むようにしている。それで好いモノが手に入ればいいし、入らなくても
それなりでいいやとういうわけだ。
それで、最近纏めて買った新潟の酒の中に「寒中梅」があった。
これも、幻とかいうものではなくて、ごく普通の「寒中梅」である。
値段も安いし、実に気楽に飲めていいものだ。
とはいうものの、常温で飲んでいても、すっきり感がなくなるわけではないし、
厭味がでてくるわけでもない。素直ないい酒に仕上がっている。
個性が強いというわけではなくて、すっきりした飲み易い酒なのだ。
今年の出来がいいのかな。
年始からいい酒を飲めて幸せだ。
そう言えば「越の寒梅」なんかは今はどうなっているのだろう。
中国だったら、茶はいくらでも高いものがあって、故事でも万金に換えて
手に入れると言う話がよくある。
50g2万円、3万円というのも良く聞く話だ。
いいものは高いというのが容認されているんのだ。
しかし、酒はそれほど凄い話は聞かない。知らないだけかもしれないけど。
せいぜい1本1万円くらいのバイヂュウくらいだ。
それより安くて旨い酒が沢山ある。
1本100円しなくても非常に旨いのだ。
この違いは何だろう。
何に価値を見るかは難しいね。
毎週金曜は酒や茶に関する話です。