九度山暮らしのある日、ちょっとまとめて水墨画の裏打ちをやってみる。

九度山暮らしで、アトリエも作ったんで下手は下手なりにせっせと水墨画を描いている。
毎日、毎日と言うほどではないけどそれなりに頑張っている。
ところで、描くのはええんやけど水墨画や書道の場合、描いたままではあかんのだ。
あかんと言うのは作品として未完成、未完成というのは紙が破れやすいんで、掛け軸
なんかにしてしまえば丈夫な作品になってしまうんでそれでええんやけど、何も
しないで額に入れたりするとべりっと破れたりしてしまうし、作品によっては紙が
薄いんで裏映りしてしまったりする。
そやから補強のために裏打ちという作業をせんとあかんのだ。
中国では絵を描く画仙紙と同じ紙で裏打ちしたりするようやけど、これはやっぱり
弱いし皺がよりやすいと思う。日本では、丈夫な美濃紙を使うのでこれやと薄くても
丈夫なんでよい仕上がりになる。
ただし、簡単に考えて作品の裏に糊をつけて裏から美濃紙を当てがうというような
ことをやってしまうと作品がシワシワになってどうしょうもなくなる。
やっぱり専門の表装屋さんに頼むことになる。
しかし、お金がかかる。数が多い時はばかにならん。
こんなん自分でできへんやろか?
せこいことを考えて一回簡単なやつを習いにいった。
小さいやつやったら行けるんちゃうやろか?
ならば、掛け軸や屏風なんかも自分でできるようにならへんやろか?
欲を出したらきりがない。それで習いに行ってみたけど、教えられながらやる時は
なんとかできるものの、一人でやってもうまいこと行きそうにない。それに面倒な
工程が多すぎてとても覚えられへん。
てなことである程度身にはついたものの挫折した。
それでもいろいろ発見は多かったんで20号くらいまでの大きさの裏打ちくらい
やったらできるやろうと自信もついた。
小さいやつやったら裏からあてがってアイロンかけたら裏打ちができてしまうのも
あるんやけどなんとなく使う気がしない。

道具は大体こんなもんでできてしまう。
これにプラス裏打ち紙を貼り付けるときの台、シナ材がええらしいけどベニアでも問題はない。
表面はツルツルでなくても凸凹がない平で汚れてなければいい。
まず表面を雑巾できれいに水拭きする。
そして作品を裏向きに置く。
霧吹きスプレーで裏から軽く全体を湿らせる。
真ん中から外へとハケで撫でて皺ができないようにする。これで作品が板に水で
貼り付けられた状態になって安定する。
その上に裏打ちの美濃紙を面を下にして重ねる。(作品より3センチずつくらい大きく)
端を折ってノリでとめ、作品の横に裏返す。
裏打紙にノリ刷毛でまんべんなくノリを塗る。(ノリは表具屋さんで売ってる和ノリが良い)
(化学ノリでなければまた後日水で剥がしてやりなおすこともできる。)

ここで皺ができないように慎重にみながらやらんとあかん。皺ができてたら慎重に剥がして
皺をのばして刷毛で平す。
できたら、板からそっと剥がして(作品と美濃紙がくっつくよう注意)、布かなんかの
上に乗せてしばらく干しておく。

乾いたら、裏の、あるいは表の四隅にノリを細く塗って板に貼り付ける。剥がすときに
ヘラを差し込むための短冊をつけておくのを忘れないように。

これで完成。数日して乾いたら紙がパリッと貼って作品が上部に裏打ちされて仕上がってる。
ある程度は自分でもできるのだ。
こんな話をブログで読んでもおもしろくもなんともないと思う。
みなさんお気の毒様だ。
しかし、個人でできることは知れてるというのがよくわかった。
やっぱり表具屋さんの存在というのは大きいし、大事なのだ。
今はかなり機械化されてるとは言うものの手作業の地道な作業で儲かってる人が
少ない証拠に廃業される方がとても多い。
こういう文化の継承ってとても大事やし日本で洗練された独特のものだ。
(中国で表装してもええもんができたとは思えなかった)
わしもこんなせこせこと頑張らんとドンと大きな立派な作品をたくさん描いて、
ガンガン表具屋さんのお世話になれるようせんとあかんなあって思う。

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ありがとうございました。