大分前に堺刃物師の篆刻刀を買った話をしたと思う。
それで、老師のところに篆刻を習いに行った時、修正の必要が生じたので
それを出した。
「これいいね」、「いいでしょう。すごく彫り易いですよ」
刃が石に吸いつくような感覚で彫れるから、私のように下手なものでも
綺麗に彫れる。感動モノだった。
それで細く細くと追いこんで行くと、肝腎なところでぽろりと行ってしまう。
それも味だと思っているが、「味ばっかりつくってもしようがない」
腕を磨くだけだ。
「どこで買ったの?」、「家の近く。堺です。堺は刃物の街なんです」
「私も欲しいなあ」、「いいですよ」
「ちょっと長いのが使いやすい。長くしてもらって」
ありゃ、そんなに簡単にできるのかな?と思いながらも、刃物屋さんに
直接いってみた。前に友人の篆刻刀を買う時に既に行っているのだ。
「あのう、又同じ篆刻刀が欲しいんですけど、今度は、ちょっと長いのが
欲しいって言ってますができますか」
「今直ぐは無理だけど、来週、焼き入れする作業が入っているから
その時一緒にやっておくよ」と快く引き受けてくれた。
しかも同じ値段だ。ありがたい。
こんな風に、専門の職人さんにわがままが聞いてもらえるような機会が
あると、なにか豊かな気持ちになる。
こういう職人さんがしっかりいてもらえる街が続いてほしいものだ。
この写真は私用のものだ。長さ145mm、刃幅8mm。
老師用はあと25mm程長いのだ。
長いと彫り易いのかなあ?
篆刻も少しだけ面白いものが彫れるようになったかな?
店名 葦刃物
住所 堺市堺区並松町14
電話番号 072-229-4920
営業時間 am 9:00-pm5:00
定休日 日・祝日