宇陀の民宿で新米をいただく-04

おいしい米でお腹が一杯になったので、離れに戻ろう。
山の中、丘の上だから日が落ちると一気に涼しくなる。このまま全部開けっぱなしで
寝てしまいたいくらいだ。
「蚊がくるやん」
「夜は寒いくらい冷え込みますよ」
そうはいかないようだ。
久しぶりに友達が集まったのだ。いつまでも話は尽きない。
昔の事を思い出してうだうだうだうだと時間がすぎる。
ちびちびと酒を飲みながら深夜になると、さすがに眠たくなってきた。
「寝よか」
思い、思いに横になる。もちろんエアコンは必要ない。
今日はいろいろあって疲れたし、寝てしまおう。
と思うが、なかなか寝つけない。
他の人はそれぞれ寝ついたようだ。いびきが聞こえる。
定例のいびきの人もいるし、新規参入の人もいる。時がたてば体質も変わるのだろう。
私は昔はいびきかきだった。しかし、きょうはかかない。寝てないからあたりまえだ。
暗いまま、窓の外を見ると、えらく綺麗だ。
大きなガラス戸を通して外が見える。庭の松の木がちょうど画のように見えるのだ。
遠くには山が見えて、星も出ているし、月もある。
寝ながら一幅の画を見ているようだ。
「これは水墨画に描かんとあかんなあ」
寝ながら画が見れるとは思わなかった。
いろいろ下らないことを考えているうちに寝てしまった。

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