映画、「雪女」を見た

外は闇。山深い農村の森の中を女が提灯をかざして歩いてくる。周りは漆黒の闇、
赤い灯がゆらゆらゆれて美しくて幻想的でもあるし、不気味でもある。こんな時に
獣が出たらどうしよう?、悪い奴に襲われたら?、それよりお化けがでるんとちゃうやろか?、
そんな心配はないんやろか? もしかしたらこの女こそ魔性の化身だったとしたら
怖いもんなんてなんもないはずやし。
どうなんやろ?
村の外れの一軒家に着いた。玄関を開けて殆ど真っ暗な家のなかで電灯を付ける。
ボーと家の中がほんのり明るくなる。この明るさがとてもいい。谷崎潤一郎の
「陰翳礼讃」の世界だ。茶の間の畳と障子と襖と床の間の掛け軸がぼんやりと見える。
静寂と幽玄と侘び寂びの世界だ。何もかもが見える必要はない。
こういう灯のなかで暮らすのがとてもええと思う。本を読んだり、細かい仕事を
したりするのには向いてへんけどこんな灯を作ってそんな中で暮らす時間を
持てたらええなあって思う。
そんなときには周りに精霊がいてるかもしれんと思うことがあってもそれは自然な
ことだ。
ネパールの山の中でも、ヒンズーの神と一緒に山に住む精霊が祀られている。
ラオスのメコンの奥の村のなかでも精霊が一杯いてはった。
この村でも雪が降りしきる山のなかではやはり山の精があるいは雪女が密かに
住んではるんとちゃうやろか?
ある雪の日、山に猟に出た巳之吉は仲間の茂作と遭難する。やっと避難小屋に
たどり着いたけど茂作は死んでしまう。力尽きたのか、雪女に命を奪われたのか?
そして助かった巳之吉のところに若くて美しい女が現れる。
いつしか2人は一緒に暮らすようになる。
果たしてこの女は何者なのか?
2人には子供が生まれる。
魔性の子は魔性なのか?
渡し舟に乗って山に渡る。
渡し舟に乗って村に帰る。
あちらの世界とこちらの世界?
誰もいない山の中に1人で入る時はみなさん気をつけましょう。
夜寝てて気がついたら、隣に見知らぬ美女が寝てて、ええことしてくれるか? あるいは
氷のような息を吹きかけてくるかもしれませんよ。
小泉八雲の世界、遠野物語の世界、上田秋声の世界、泉鏡花の世界、日本の魔性の
世界はどれも妖しくて美しくて、面白い。特に高野聖がよかったなあ
中国の聊斎志異に出てくる陽気なお化けたちも面白いけど。

eiga170405

この映画はとても美しくて妖しくて、エロチックだ。
是非、映画界で日本の魔性を感じて下さい。

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ありがとうございました。