丰子恺(フォンツーカイ)の挿絵画
「さかなさんは、こんな画すきやろ」と言いながら友人から一冊の本を頂いた。
魯迅の短編集だが、丰子恺(フォンツーカイ)という人の挿絵画がついたやつだ。
「そやねん。こんな画大好きや。こういう傾向を狙ってるねん」と有難く頂いた。
この本は、良く見ると魯迅の本に挿絵を入れたというよりは、丰子恺(フォンツーカイ)の
画の一つの表現として魯迅の小説の挿絵という形を使ったという風に見える。
それほど画が中心の本になている。
この人は漫画ともいわれるし、画家とも言われている。一見漫画風ではあるが、よくみると
しっかりと絵画になっている。きちんとした手法で学んだ人だということがよくわかる。
どの画も暖かい。ユーモアがあって、どこか哀しい。
人間の営みが空気感と共にしずかに伝わってくる。
私もこういう感じの画が描けるようになりたいのだ。
それをよくわかって、この人の本をわざわざ、それも中国で探して買ってきてくれる友人が
いるというのは本当にありがたい。
中国語はあまりよくわからないが、魯迅の作品なので知っている話も多い。
それで眺めていると、実によく話の雰囲気があらわれている。
紹興の酒家に出入りする、貧乏な困りものの孔乙己の話ものっている。この話は大好きだ。
仕事がおわって、夕刻まえから、地元の安酒場にたむろする人達。
その人達に酒をたかる難儀なやつではあるが、なぜか不自然に気位が高い孔乙己、楽しい
世界だ。
他の話の中にも知らないものも沢山ある。
中国語の勉強がてらじっくり読んでみよう。
しかし、最近思うのだが、どんなに自由奔放に、思いついたままに画を描いているように
見えるひとでも、やはり基本はきちんと学んだ上でやっているという跡がありありとわかる
のだ。どんなことでも基本の上に応用ありだ。
いきなり眼が覚めたら上手になっていたという事はありえない。
本当にあたりまえの事を根気よくきちんとやらないといけないということが身にしみてきた。
精進精進ですなあ。
毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。