横山秀夫、「クライマーズ・ハイ」
図書館で本を物色してたら、何やら登山モノらしいやつを見つけた。ぱらぱ
ら見てたら谷川岳の岸壁を登るらしい。昔から遭難の名所やったとこらしい
から、登山関連のおもろい話があるかもしれんと思って読み始めた。
全然ちゃう。こともないけど、そういう路線の本ではなかった。
しかも面白い。
実は御巣鷹山の日航機事故という大事件に巻き込まれた地方新聞記者の苦闘
の物語がメインになっていたのだ。
北関東新聞の記者、悠木は上司との折れ合いがうまくいかず、仕事は本流か
ら外れつつあった。そんな中同僚と谷川岳衝立岩に登る為、出発準備をして
いたちょうどその時、御巣鷹山に日航機墜落事故発生という未曾有の大事件
が地方新聞社に飛び込んだ。悠木は急遽、全権デスクとなり登山どころでは
なくなる。しかも一緒に行くはずだった同僚はくも膜下出血で倒れて植物状
態になってしまっていたのだ。
何故なんや? なんかわけがありそうや。しかしそれを探る時間もない。
事故の全容がわからないまま、被害のおそろしさが次々と取材されてくる。
何を記事にのせて、世の中に何を伝えるのか。
どんな真実を訴えるのか。
こんなときにも権力争いといやらしい駆け引きも登場する。
何が報道の良心になるのか。
緊迫した報道現場の状況が立ち上がってきて実におもしろい。
事故現場の表現が圧巻だ。
山口恵以子、「月下上海」
八島財閥令嬢にして当代の人気画家、八島多江子は戦時下の上海にやってきた。
何故か複雑な過去がありそうだ。
夫と愛人によって殺されかけたという話は事実なのか。本当は多江子の仕掛け
た巧みな犯罪ではないのか。
それをネタに憲兵からおどしをかけられる。多江子は華やかに上海の社交界を
泳いでいるのか泳がされているのか。
スパイするつもりの国民党系の資本家にいつか恋におちてしまう。
多江子の運命やいかに?
面白くて読みやすい。
上海の知ってる場所が次々でてきてわくわくする。
ただ、戦時下の魔都と言われた上海にうごめくどろどろや日本人社会の薄汚さ
なんかが描かれようとしているものの濃密さに関してかなりの物足りなさを感
じてしまう。
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ありがとうございました。