「爆弾。」
著者 呉勝浩
日曜日の秋葉原。
通報があった。酔っ払って酒屋の自動販売機蹴った男がいる。
店員を殴ったそうだ。
等々力刑事が捕まえた。スズキタゴサクとなのる冴えない中年男だ。
金がないとかなんとかのらりくらり。
わけのわからんことをぶつくさ言うとる。
そのうちにややこしいことを言い始めた。
わしには霊感があるみたい。秋葉原で爆発があるような。
そして事件は起こった。
取調室の攻防。
タゴサクおやじは、のらりくらり。
でも、なんだか、しゃべってることにヒントがありそう。
そしてクイズがはじまる。
それを解いたら爆発が防げるのか?
まだ次があるのか。
その次もあるのか。
伊勢対スズキ。清宮対スズキ。
スズキタゴサクとは何者か?
警察は躍起になってスズキの身元を探る。
それが割れたら事件は進展するのか?
心の形を当てるゲームとは?
とうとう大きな事件が見えてきた。都民を無差別に巻き込む爆発事件が起こってしまうのか?
見えて来たか?
交番刑事の沙良と矢吹が追うものは?
長谷部元刑事の醜聞と家庭崩壊に関係が?
パズルが解けてきたか?
新聞販売所には?
置き忘れのケータイで?
シェアハウスで起きたこと?
スズキは本当に犯人なのか?
とても面白い。
得体の知れないスズキとネゴシエーターとの攻防。
知恵比べ。
見えない犯人。見えない動機。見えない方法。
テンポの良い展開。知恵比べ。理不尽が呼び起こしたモノ。
一気に読んでしまった。
わしの勝手なおすすめ度。
星4つ。
「我、鉄路を拓かん」
著者 梶よう子
海上築堤を作った男たちの物語。
鉄道開通に取り憑かれた。
鉄路を拓く仕事に取り憑かれた。
そういう時代の話。
これを読んでいて思った。
今でもアジアや世界のあちこちで、鉄道敷設の話をよく耳にする。
ほとんどの入札を席巻してるのが某国だ。
巨大な資金と工業生産力を背景に攻め立てている。
その結果、よく聞くのが債務のワナ。
たとえそうでなくても、沿線にもたらす富は、その某国からやってきた夥しい人たちが、ありとあらゆるところで食い尽くすようなこともよく聞く話だ。
地元の政治家や富裕層には得られるものがあるかもしれんけど、庶民にはまわってこないことも多いのではないか。
われらの国の維新の黎明期。
似たようなことが沢山あったに違いない。
しかし、先人たちはそのような罠に嵌ることはほとんどなかったようだ。
とてもありがたい。
彼らの見識や気概を誇りに思う。
わしらはいい国に生まれていい国を作ってきた。
でも、危ういことも一杯ありそう。悪い面も沢山出て来てる。
わしらの時代にわやくちゃにしてしまったらあかんのやけどなあ。
読んでみて。
とても読みやすくて、楽しい。
鉄道開業150年ということでいろんなスペシャルなテレビ番組もあったけど、本で読むのは楽しい。
わしの勝手なおすすめ度。
星3つ半。