映画、「湾生回家」を見た

じっくりと心に沁みる映画であった。
土曜の午後の回、結構若いカップルが多いのが意外であった。わしの両側もそう言う
人たちで、片方は台湾旅行経験がありそうな日本人のカップル、もう片方は言葉が
日本語ではない、どうも台湾の人のようだ。けど勘違いかもしれん、自信はない。
どちらも休憩時間は結構お喋りしてはる。なんかぐちゅぐちゅ食べてはる。
今はええけど映画が始まったら静かにして欲しいなあって嫌な顔をしてたら、
上映中はわし同様、画面に一気に惹きつけられて一生懸命見てはった。そして
わし同様涙を拭うような気配も見受けられた。
終わってから横をちらりと見ると、台湾人らしい女性が大泣きしてたような
様子が見られて、なぜかとても嬉しくなってしまった。
前に台湾の花蓮に行ったことがある。駅前の案内所でタクシーを推薦されて乗って
みたらカタコトながら日本語を喋りはって、タロコ渓谷に行くまでにあちこち
占領時代の日本人の残した施設を案内してもらった。別の日に台中から花蓮に
続く山道を行ったこともあった。霧社事件のあったあたりだ。もちろんここにも
当時の日本人の足跡があった。台湾では日本人の足跡を見ることがとても多い。
そして、それらは戦争が残した負の傷跡ということではなくて良い想い出の一つと
して残しておいてもらってるというものが多いように感じられて、見けるたびに
嬉しくなる。
映画の舞台は主には花蓮だ。占領時代にこちらに移住した日本人たちの物語。
何もない草茫々の荒地を苦労して耕して、やっと豊かな作物と日常の暮らしを
手に入れた人たちが敗戦の混乱の中を着の身着のままで日本に引き上げる、或いは
送還される、あるいは台湾に残る。数十年の時を経て、故郷台湾への望郷の想いは
やむことなく折に触れて台湾に帰り、旧友たちと再会する人たちがいる。
台湾に残った人も台湾人の家族のなかで年老いてしまった。こちらは故郷日本が
忘れがたい。生みの母の消息が知りたい。
そういう人たちをカメラが淡々と追う。
起承もなければ転結もない。全くないわけではないがそれが主眼ではない。
心のままに淡々ととつとつと喋る言葉を追いかける。
ただそれだけが心を打つ。
霧社事件があったすぐそばでこういう熱い想いを育む暮らしもあったのだ。
悪いことばかりではない。

eiga161205

湾生人の想いと、台湾の人たちの優しさが心を打つ。
胸に沁みる映画だ。こういう映画を台湾の監督が作ってくれたのが素晴らしい。
是非、劇場でご覧あれ。

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ありがとうございました。