ミャンマー紀行、祈りと優しさに出会う旅-28、タンルウィン川の夕陽

実はこの夕陽は昨日も見た。しかし、あんまりじっくり見られへんかったのと
日が沈むのを見届けるところまではしなかったけど、今日は暇なんで時間がい
くらでもある。晩ご飯も先に食べたんで心ゆくまで夕陽を堪能しようと思う。

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そろそろええ感じになってきた。

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川を左右に船が行き交っているのが中々面白いんやけど、生活の匂いがする釣
り舟だけやなくて、夕陽を見るためにだけの舟がでているんではないかと思わ
せる舟も多い。

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さっきまで殆ど形になってなかった光の塊がだんだんと赤い円盤になっていく。

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冷静になって考えたら、30分ほどもかけてゆっくりゆっくりと太陽が沈んで行
くだけのことで景色は殆ど変わらず微妙にちょっとずつ変化していくだけやの
になんとはなしにじいっと見てしまうのって何なんやろ。

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例えば、フルマラソンのテレビ中継を最初から最後までずっと見てしまうよう
な事なんやろか?
例えば、各停の電車に乗って窓側の席に座って夜でほとんどなんも見えへんの
に窓をじっと見てしまうような事なんやろか?
例えば、パソコンでデータをコピーしたり何か重いやつを実行したときに、画
面にでる進行表示の棒グラフの緑の色がちびちび進むのをなぜか10分も20分も
見てしまうような事とおんなじなんやろか?
どうでもいいことを考えているうちに日が落ちてしまった。

あたりは急に暗くなる。
ではホテルに帰って寝よう。
すんなり帰ったけど、今日がパアン、モウリャマインの最後の夜だ。このまま
寝るのはちと寂しい。かと言って外へ飲みに行くようなところはホテルの近く
にはないのは分かってる。
しょうがないホテルの食堂でちょっとだけ反省会でもしようかと1階に降りて
行ったらえらくひっそりしてる。大きな声を出したりして騒いでるうちに担当
者が現れた。料理は作ってくれるそうだ。しかし、酒があんまりない。ビール
もない。いろいろ聞いてたら缶ビールならあるという。
それでいい。
缶ビールと最初の日に食った蝦のスパイス炒めで締めくくろう。

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やっぱりこれはうまい。ビールはキンキンに冷えてるし、蝦はスパイスがとて
も利いていてフワサクでビールによくあう。
やっぱりこれでよかった。

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美味しい晩酌にありつけてとてもよかった。
ヤンゴンから長距離バスでいきなり来るのは不安であったけど、来て見ればと
てもいいところだった。食い物が優しい。景色が優しい。人が優しい。
居るだけで癒やされる感じがする国であったと思う。
こういう原風景のような暮らしをあまり変えずに維持してもらえたらなあって
思う。しかし、どんどん観光化されてしまうのは止められへんのやろなあ。
今の風景をしっかりに心にとどめて、出来るだけ絵にも描いておこうと思う。
明日はヤンゴンに戻って、次はパガンに向かう。
旅はまだ半ばだ。

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ありがとうございました。