水墨画をやっていると、掛け軸にしたくなる絵が時々ある。メチャメチャ素晴
らしいわけではないけど、自分なりにはうれしい出来の時もあるのだ。
しかし、表具屋さんに出すとかなりの値段が掛かる。
簡単なものでも数千円、良いモノになると数万円というくらいだ。
恐ろしい。
それに、掛け軸というと何となく決まったような柄や色から選ぶことになって
自分なりの面白い遊びができへん。手元にある布や紙を使ってみたらおもろい
やろって思ってもそれは不可能だ。
そんな事もあって、いっそ自分で出来るようにならへんやろかと思って、調べ
てみたら、そういう教室があるらしい。
さっそく行ってみよう。
「どういう目的で来られたのですか?」という問いに、「掛け軸を表具屋さん
に頼んだらえらい高いんで、自分で安くできるようになりたい。」って答えた
ら嫌な顔をされた。その顔での指摘が正しかったことは後で嫌というほど分か
ることになる。
てなことで、掛け軸修行が始まった。初心者は紙の掛け軸だ。
最初は作品の裏打ち。何の問題もない。
裏打ちというのは、作品に水で霧吹きをしておいて、裏から糊をつけた丈夫な
紙を貼り付けて作品を補強するというものだ。今迄も自分でやったことがある。
あとの作業も甘くみていた。
飾り紙を切ってメインの大きな紙の上に並べ、全部まとめて裏打ちしてしまっ
たらしまいやんかと軽く考えてたのだ。しかし、それは大きな間違い。そんな
やりかたやったら、ぼこぼこになって軸に巻くなんてできへんのだ。
一つずつパーツに切り分けて、それを一つずつ裏打ちする。
そのお互いを3mmほどの糊代で繋ぎ合わせて行く。繋ぎ終わったら始めて、全部
まとめて裏打ちするのだ。
そして、巻くために芯になる棒や下部にくる重しの棒などを糊付けして全行程
が終わる。
気の遠くなるような面倒くささだ。こんだけ手がかかったら高くなるはずやわ
って納得してしまった。
紙の部分だけで、作品を別にして8枚のパーツを貼り合わせているのだ。
(プレス機械で掛け軸を作る場合は又別のようやけど)
しかし、昔から伝わる表具屋さんの知恵で紙と糊だけでこんなものが出来上が
ってしまう。
必要な時は取り出して壁に飾り、不要な時は巻き取って小さく保管する。
日本人の知恵はたいしたものだ。
この教室に暫く通って、初級レベルを脱したら、好きな布を使った掛け軸や、
屏風などにも挑戦できるかもしれん。それを楽しみに暫く勉強しよう。
そんなことを考えながら、絵を描いていた。
所謂半切という縦長のやつだ。掛け軸にするにはもってこいのやつだ。
で、一回描いたらどうにも気に入らん。しかたなく、も一回描き直した。こん
どはわりと上手く行ったかなと自分でも思った。失敗したやつは邪魔やから、
くしゃくしゃっと丸めてゴミ箱に入れよう。端の白いとこも切り取ってしまおう。
??、なんでほかすやつに落款が押してある?
えらいこっちゃ。これっとうまくいった方やないか。
失敗作はここにある。
えらいこっちゃ。
あわてて取り出して、一生懸命皺をのばす。
皺だらけやけど破れてないんでなんとかなりそうだ。表装するときに気をつけ
れば霧吹きして伸ばすときに真っ直ぐになるはずだ。
気にはなるけど、次に軸をつくるときはこいつをやらんとあかん。
うまいこといきますように。
しかし、空白の部分が上
も下も足りんなあ。表装するときに紙も持って行って継いでもらわんとあかん。
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