最近夢中で読んだ本、吉田修一、伊坂幸太郎

  • 2010年6月22日
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吉田修一、「横道世之介」
空手の有段者がおって、またそいつが酒癖が悪い。その上に極度の近眼だった。
「○○が酔うてあばれとるぞ」というと誰かれなく逃げ回ったものだ。
たとえ親しい友達でも、さきに「わしや△△や」と声をかけないと見えへんからどつかれる
危険がある。それでも愛すべきやつだった。
「わしは10分あったらどんな女でも口説きおとして見せるで」と言うてるやつもおった。
「なるほど」と思える時もあったが友達にすると後悔することになった。
酒で身を持ち崩したやつもおった。文字通りだがしょうがない。
何でかわけもわからずどうにもならんようになってたやつもおった。これも難儀やがしょうがない。
どうしてあんなに毎日毎日同じ連れがつるんで同じことばっかりやってこれたんやろ。
青春時代を語ればきりがない。
だれもが、輝かしい思い出も持っているものだ。
でも結局は多かれ少なかれ似たようなものであるのかもしれない。
この本のように横道世之介には出会えなかったけど、
ちょっと苦くもあるけど、楽しい日々だった。
この本を読んで、そんなことなどを少々想い出した。
爽やかな後味の良い本です。

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伊坂幸太郎、「陽気なギャングが地球を回す」
前に、同じ作者の「陽気なギャングの日常と襲撃」という本を読んだ話をした。これはその
前篇にあたるのだろう。図書館で同時に予約したら、こちらの方が人気があって、順番待ちが
長かったのだ。
内容は殆ど同じ。
誰でも一度は、「かっこいい強盗をやってみたい」、「それも完全犯罪の」なんて思う事は
あると思う。実際にやったらあかんので本に書く事になるのだろうか。
そうなると「やった」だけではおもろくないので、「コケてもみせる」ことが必要になるので
あろう。そして話はだんだんと楽しくなっていく。
伏線が一杯、たくらみが一杯の痛快で楽しめる本です。

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毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。