最近夢中で読んだ本の話、崎谷満、萩耿介

  • 2010年5月25日
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崎谷満、「DNAでたどる日本人10万年の旅」
素晴らしい本だ。大感動だった。
論文のような本だが、「すごい、すごい」とつぶやきながら一気に読んでしまった。
日本人のDNAについての本だ。人類と言うのは、アフリカのどこかで発生した、もともと
一つのDNAから始まると言う。それが3つにわかれ世界中に広がって行ったという事らしい。
そして、先住した民族のDNAは後から移住してきた民族に滅ぼされ、そのDNAもなくっていく
というのが普通だと言う。
ところが日本の場合は違っていて、現在でも複数のDNAが残っているという。
北方から、アジア大陸から、南方から民族が移動してきて、旧石器時代をつくり、稲作の時代
を作ったとしても、決して元からいた民族を滅ぼしつくす事はなくて、共存していたのだという。
良い話ではないか。
だから、せっかく共存をつづけてきた、それぞれの民族の文化の根源的なものが、蝦夷などのように
少数民族においやられ消えていこうとしているのは大きな問題であり、むしろ大自然と共存して
生きて行く知恵を持つその文化の方にこれからの時代は学ぶべきものは多いのではないかと言う事だ。
どんな事についても右肩上がりにしか考えられない。
より多く、より高く、より○○が生きる目的の全てになりかねない我々又は私への大きな警鐘
なのだと受け取った。

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萩耿介、「松林図屏風」
長谷川蕭白展が来るというので、興味もあったし、事前学習の意味で読んだ本だ。
長谷川等伯と言う人がどういう時代を生きたのか。
狩野派全盛のなかでどうやって一派を築き得たのか。
桃山時代末期、武士たちの戦いの時代でもあり、秀吉の絢爛豪華な時代でもあった。
絵師達の生きざまも強烈であったろう。
その中で長男久蔵との確執とその死が何をもたらしたのか。
そして、「この世ならぬ画ができた」、それが松林図屏風だという。
智積院の楓図は展示されていたが、久蔵の「桜図」はなかったので、見に行ってみようかなあ。

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