G・ウィロー・ウィルソン、「無限の書」
この本とても面白い。手に汗握るアクションの連続、まるでハリウッドの映画をみてる
ようだ。しかも舞台は中東イスラムの世界、IT時代のアラビアンナイトかも知れん。
アリフはその世界では名を知られた少年?青年?ハッカーだ。
その知識を生かしてひそかにデータサーバを運営している。これは絶対安全だ。
どんなハッカーにも破られない。
しかし、ある日、何かおかしいことに気が付いた。もしかしたらまずいことが
起こっているのか? 恋人は、恋人だった?、インティサル。貴族の令嬢だ。
階級のちがうもの同士が結婚できるわけがない。
あるひ別れた彼女から1冊の書物が届く。
一体何の本なのだ?
身の回りがだんだんやばくなってきたのではないか? もしかしたら命に
関わる? どうもハンドという政府保安局のえらいさんみたいな男に狙われて
いるらしい。サーバのセキュリティもあっという間に破られたみたいだ。
いったい彼の身に何が起ころうとしているのか?
彼女の身にも何かが?
どうやら吸血鬼ヴィクラムが鍵を握ってるらしい。果たして彼の助けは得られるのか?
魔法の世界で助けられて生きながらえるのか? 危機はアル・ヴァシーラ大モスクにも。
ビラル師とは?
回収者とは?
やぱり本に謎がかくされているのか?
魔法とITとイスラム社会が入り混じってハチャメチャの大活劇が始まる。
ハラハラドキドキで素直に楽しめる。とても面白い。
宮内悠介、「カブールの園」
表題を見て勘違いした。アフガニスタンの話ではまったくない。
レイは日系3世で、ITプログラマーだ。サンフランシスコの郊外でそこそこの
暮らしをしている。
しかし、何か心に闇を抱えているらしく、心理療法士VRエレメンタリー リンドン先生の
世話になっている。それは母との確執のことなのか、子供時代にいじめを受けた
影響なのか?
あるひ、休暇をもらって車でヨセミテに向かった。
そのはずが、ついたところは第2次大戦中に在米日系人が収容されていた強制収容所だった。
そこには祖父母がいたはずなのだ。
それは自分探しなのか? 母親のルーツを探るためなのか?
心の傷あとをさぐるためなのか?
そして日系1世たちの同人雑誌にたどり着く。
「伝承のない文芸」とはなにか?
アメリカで生きることとは何なのか? 日本語とは? 日本とは?
とても切なくて哀しい。こころに響く短編だ。
「半地下」もとても哀しい物語だ。
突然父に捨てられた姉と弟。
食うために頼ったのが興行師だ。彼は姉をプロレスラーとして育て、自分の手で
レヴューさせようとしているらしい。
姉のプロレスは成功するのか?
日系人はアメリカに受け入れられるのか?
麻薬をやるのがあたりまえの暮らしのなかで、弟はどんな生き様をたどるのか?
出口のない暮らしと虚しさの中で果たして救いはあるのか?
アメリカにおける日系人の暮らしって実感はわかへんけど哀しさは伝わってくる。
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