映画、「禁じられた歌声」を見た

何て素晴らしい映像なんやろって思った。
砂漠の外れにテントを張って、親子三人がひっそりと暮らす。夕暮れには父がギター
を弾いて謳い、妻の娘が和んでいる。日が暮れたら漆黒の闇の中で或いは満点の星の
下で唯眠るだけ。朝が来れば川辺に霧が立ち、砂漠の中の僅かな緑に日がさしてくる。
山羊の乳を搾って飲み一日が始まる。牛を追って暮らす日々、唯それだけの貧しい暮
らしだ。自然の中で精霊と共に暮らす。
絵になる。侘び寂びの世界、もののあはれの世界であるかのようだ。

例えばこんな詩がある。
晩に向んとして意適はず、
車を驅り古原に登る。
夕陽、無限に好し、
只だ是れ黄昏に近し。
:登樂遊原 李商隠
こんな世界をみるようだ。

或いは、こんな詩がある。
君あしたに去ぬゆふべのこゝろ千々に
何ぞはるかなる
君をおもふて岡のべに行つ遊ぶ
をかのべ何ぞかくかなしき
蒲公の黄に薺のしろう咲たる
見る人ぞなき
雉子のあるかひたなきに鳴を聞ば
友ありき河をへだてゝ住にき
へげのけぶりのはと打ちれば西吹風の
はげしくて小竹原真すげはら
のがるべきかたぞなき
友ありき河をへだてゝ住にきけふは
ほろゝともなかぬ
君あしたに去ぬゆふべのこゝろ千々に
何ぞはるかなる
我庵のあみだ仏ともし火もものせず
花もまゐらせずすごすごと彳(たゝず)める今宵は
ことにたふとき
:北寿老仙をいたむ 与謝蕪村
こんな風景が目にうかぶ。

こんな暮らしに破綻がやってくる。街は過激なジハードを標榜する一団に支配
された。不条理な教義とルールが押しつけられる。サッカーをしたら鞭打ちの
刑、。歌を歌っても鞭打ちの刑、彼らが認めない結婚は石礫の死刑だ。一方で
は勝手に神の名の下にと結婚相手を決めてしまう。
恐ろしい。
そんな中で、テントで暮らす彼らにも不幸が襲う。
牛が殺された、抗議に行って争いの末・・・・・・、不幸が起こる。
父の運命はどうなるのか?
それが神の意志なら受け入れよう。
そして・・・
アフリカのある地方では、人一人の命の代償は牛40頭らしい。他の本でも読ん
だことがある。普通は部族の長老が間に立って和解調停が始まるという。
ここでは、ジハードの一団が神の名において刑を決める。

eiga160112

哀しいけど美しい映画だった。
是非劇場でご覧あれ。

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ありがとうございました。