京都に有名なフランスパリのケーキ屋さんの支店があるらしい。パリで食べた
味と同じか比べたいんで買ってきてとの家族のご用命で京都の二条大橋のあた
りに行くことになった。
丁度西院で用を済ませた帰りやから、バスに乗って近くまでいける。
バスを降りると、スーツケースを引きずった中年のご夫婦が意を決したように
わしの方に寄ってくる。メモには32って書いてあって、それを見せながら車を
運転する真似をする。どうも32番のバスを探してるらしいことは察しがついた。
けどわしかて京都の人間とちゃう。32番がどこかわからへん。「すんまへん」
と言いつつ向こうへ行こうとしたけど、ちょっと気になる。旦那さんの方の
メモ用紙を覗き込んだら、中国語で、「京都駅」って書いてある。
そうか京都駅か？ 「中国人？」って聞いたら、「そう」っていう。
「ここから京都駅は遠いで」って何の役にも立たんことを言い出したら、彼ら
はありがとうって良いながら向こうへ行ってしまった。よう見たらその先に
バス停がある。もしかしたらとバス停まで行って見てみたら、京都駅行きがあ
った。その番号を指さしながらこれにのったらええよと安直に人助けのふりを
してしまった。こないだ上海であんなに親切にしてもらったのに冷たかったか
なと反省しながら、ハイアットリージェンシーというホテルを探す。
これが又わかりにくい。よう見たら二条大橋の袂に隠れるように建っている。
えらい気取ったようなホテルだ。
中に入っても、わしらのようながさつな人間がくるとことはちょっと違う。
近寄りがたい雰囲気があるようだ。
受付でピエール・エルメの店舗を教えてもらう。
有名ならしい、イスファハンと他３つ買って帰る。
なかなか見た目は美しい。
お味はどうかというと、やっぱりがさつな人間にはわからんような繊細な味で
はあるらしいが、パリほどの魅力はなかったらしい。
これやったら、大阪でももっと繊細な味のを食ったことがあるような気もしな
いでもないけど、定かにはわからん。
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ありがとうございました。