「窓から逃げた100歳老人」、ヨナス・ヨナソン
ある日、ちょうどその日に100歳の誕生日を迎えてそのお祝いの会が始まろうと
するその直前に、老人施設の窓からアラン・カールソン本人がスリッパのまま
表に出た。アランはそのまま駅に向かう。どうやらそこからずらかるつもりだ。
まっすぐバスの駅まで来た。バスのチケットを買った。
見るからに悪そうな若者が大きなスーツケースを持って先に居る。若者はうんこ
がしたい。我慢出来へんらしい。アランにスーツケースを見といてくれるよう
頼んでトイレに入る。
普通、施設に居るような老人ってあんまりチンピラのような悪さはしいへんと
思う。ところがこの爺さん、バスが来たんでそのスーツケースを頂いて乗って
逃げてしまう。
爺さんが辿り着いたのはたまたまチケットを買った先のバス停。他に何もなさ
そうだ。スーツケースをごろごろ引きずってある家にたどりつく。
トイレから出た若者は事情がわからずうろうろするがどうやらスーツケースを
パクられたらしいことに気がついて怒り心頭、追跡劇が始まる。
実はその中には麻薬取引にからんだ大金が入っていたのだ。それが見つからな
いと若者も親分に殺される。
さあ、アラン爺さんはどうなるのか?
金はどうなるのか?
若者は?
次々に変人奇人のような人達を巻き込み、行く先々でいろんな事件を起こしな
がら爺さんは逃げる。
人間も旅をする。
死体も旅をする。
意表をつく面白さだ。
「みんなバーに帰る」、パトリック・デヴィット
ハリウッドのあるロスの裏町にわびしいバーがある。俳優志願に俳優崩れ、脚
本家志願、その他もろもろ映画にまつまりついて飯を食いたい、あるいはその
つもりのやつらが夜な夜な集まる酒場だ。
そこに一人のサブチーフバーテンダーがいる。
客はろくでもないやつらばっかりなんで、バーテンダーもやっぱりおんなじろ
くでなしだ。アル中、ヤク中、ゲイに文無し、どっちもどっちの毎日が続く。
男はそんな中で密かに勘定をごまかして金を貯めている。
いつかここを出て行くのだ。
もうこんな暮らしはうんざりだ。
とうとう女房まで出て行った。
人はどこまで墜ちていけるんだろう。
愛すべきろくでなしたち、救いようのない飲んべえたち、ヤクとともにどこま
でも墜ちていくやつら、そんな暮らしから抜け出せるのか?
男が好きな酒は、「ジェイムソン」、アイリッシュウイスキー、仕事のあいま
にこっそりとそれをちびちびやっている。
こんな話大好きだ。
ぐちゃぐちゃでどうしょうもない。汚らしくて、救いがない。
けどどこか暖かくて、もの悲しい。
ちょっとため息をついて、ジェイムソンを一杯だけやろう。
気がついたらボロ車の中で寝込んでいた。
ちょっとじんとくる。
ジェイムソンという酒を飲んで見たくなった。
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