「風に立つ」
柚月裕子 著
「俺は親父のことを何もわかっていないのかもしれない」
小原悟は南部鉄器を作る鋳物工房「清嘉」の職人。
親方が父、孝雄、林健司という悟が生まれる前からの職人もいる。
昔ながらの頑固な職人たちの世界。
ある日、異変が起こった。
父が突然、少年春斗を預かるという。
問題を起こした少年を家庭裁判所から補導委託として一定期間あずかるというのだ。
何のために、何でわざわざ、無理に波風たてんでも・・・
父の身勝手・・・?
そして、少年を交えた暮らしが始まった。ぎごちない暮らし・・
頑固で怖いだけの親父が何であいつにあんなに優しい・・
納得いかん・・
それでもすこしずつ事件が・・・
バイトの八重樫もきた。
少しずつ父のことを考えるように。
父の過去。母の死。
語れない、語らない過去と思い・・・
春斗も少しずつ変わってきた?
そして、事件が・・・・
宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」とは・・・・
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ半。
「ほとんど記憶のない女」
リディア・デイヴィス 著
「むろん表のアパートの住人が裕福なのは彼らの落ち度ではないが、私たちが煙たく思うのも事実だ」
素晴らしい。
とてもクール。とても、スマート。
淡々と語られる文章はとてもシュールで悪魔の囁きみたい。
そして、どこかユーモアがあってエスプリがある。
素晴らしい。
じぶんのことのようで、他人事のようで・・・他人から見た自分のようで・・・
ドラマはない。起承転結もあるようなないような・・・
それでいて、心がざわめく。
心がなっとくする。
短編小説のような、エッセイのような。
ただのメモのような。ノンフィクションのような。
長いような短いような。ただの語りのような。
言葉遊びのような。
それでいて心惹かれる。
夢中で読んでしまう。
ええですなあ。
「グレン・グールド」をこんなふうに描くか・・
「ロイストン卿の旅」これが紀行文・・・
とても良い。
夢中で読んでしまった。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
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