最近読んだ本、「不器用なカレー食堂」、「日本永代蔵」

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「不器用なカレー食堂」、鈴木克明、鈴木有紀
旅に行ったら思わぬところで予想外の美味しいモノに出会えることがある。
そういう事があると旅をするのがとても楽しみになる。
例えば、中国の南の方、福建省にある客家の土楼を見に行った時、あの独特の
円形の建物、外から見ればドーム球場のような外観でその円周に沿ってマンシ
ョンのように部屋がびっしりと並んだ不思議な空間で暮らしている人達を見に
行った時、観光化されているとはいえ、普段の生活がその中で営まれていて、
それが新鮮でとても良い感じやった。感動した後は腹が減った。
レストランを探したけど全く見あたらない。聞いて見ると2、3km先に行かん
とないらしい。チャーターした車で来ていたんで行けばしまいやったんやけど、
何か名残惜しくて、そのあたりに住んでおられた初老のご夫婦に、昼飯を付く
ってもらわれへんかって頼んでみた。まさかと思ったけど、一人15元で作った
げると言う。土楼の中の普通の住まいの土間のテーブルでおっちゃんが料理を
作ってくれるのを待つのも楽しかった。良い感じに使い込まれた部屋で古びて
はいるけど隅々まできれいに掃除されていた。そして出てきた料理は、質素で
はあったけどとても心のこもった、野菜中心の美味しい料理だった。
料理そのものの味というよりはご夫婦の家庭の温か味を感じられたような気が
したのだ。
又、あるとき、タイのアユタヤ遺跡を見に行った。ある人のご好意で運転手付
きの車を手配していただいた。それで、昼飯時、あんまり言葉の通じへん運転
手さんにどっかローカルなとこで飯を食いたいと身振りを交えて言ったら、超
ローカルなお店に連れて行ってくれた。バラック小屋を少し立派にしたような
店で、テーブル席が4つほどだ。すぐ奥の目に見えるところでおっちゃんが、
鍋を振って料理してる、そんなとこだ。
こんなとこや。わしが来たかったんはとおもわず叫びそうな店だった。
で、何をたべるんや。おばちゃんがメニューを持ってきたけどタイ語なんでさ
っぱりわからん。喋ってももタイ語しか通じへんみたいやし、わしはタイ語が
出来へん。どうしょうと思ってまわりをみるとおばちゃん達がとっても美味そ
うなもんを食ってる。思わず、「あれ下さい」って指さした。おっちゃんが魚
をジュージュー、フライに揚げて、その上に野菜炒めみたいな餡をかけて、は
いできあがり。ビールも指さしでもらって食べたら、これが熱々で魚はかりっ
とあがってるし、ピリ辛の餡とからんで素晴らしい味わいだった。
旅に行くとこんな事に出くわす事が多いんでやめられへん。わしが、もっと
勇気をだして老年バックパッカーをやってたらもっとすごい経験ができたと思う。
この作者ご夫婦の場合はインドだった。
インドの旅とインドの食べ物に魅せられてしまったようだ。そしてバックパッカー
をしながらインドやネパールの各地を巡る。
その話がとてもおもしろい。
あげくに、インドカレーの店を作ってしまうのだ。それもインドの旅で出会っ
た極上の経験を再現すべくこだわりに拘った店をつくろうという話なのだ。
そしてそれはお話だけではなくて、実際にお店が存在するのだそうだ。
“インドカレー食堂 砂の岬”というのだそうだ。
できたら一度その店にいってそのこだわりを見ながらこだわりのカレーを食わ
せていただきたいものだと思う。

hon151203-1

「日本永代蔵」、井原西鶴、堀切実(脚注)
前に世間胸算用を読んで面白かったんでこれも読むぞって思ってた。
予想通り面白かった。
これは江戸時代の財テクの話だ。うまくいった話もあれば、失敗した話もある。
ハウツウ本ではないし、道徳本でもない。
ストーリーが複雑に展開するわけでもない。ふわふわと、「お話」を聞いてる
だけのような話ですらある。
けど、とても面白い。江戸時代の大阪を中心とした上方の暮らし、特にお金に
まつわる暮らしが生き生きと立ち上がってくる。
大阪って元気いっぱいの都市やったんやって嬉しくなる。
巻一
初午は乗ってくる仕合せ 水間寺利生の銭
二代目に破る扇の風 一分拾うて家乱す悴子
波風静かに神通丸 北浜に箒の神をまつる女
昔は掛算今は当座銀 一寸四方も商売の種
世は欲の入札に仕合わせ 後家は女の鑑となる者
巻二
世界の借屋大将 餅搗もさたなしの宿
怪我の冬神鳴 何をしても世を渡るこの浦
才覚を笠に着る大黒 見過の道急ぐ犬の黒焼
天狗は家名の風車 横手ぶしの小歌の出所
舟人馬かた鐙屋の庭 明くれば春なり長持の蓋

hon151203-2

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