最近読んだ本、「それまでの明日」、「マザリング・サンデー」。

  • 2018年11月5日
  • 1人

原尞、「それまでの明日」
日本のレイモンド・チャンドラーか? 本邦初の本格ハードボイルド? なんて事を
期待しながら読んでいく。
ある日、渡辺探偵事務所を訪れた依頼人がいた。所長の、といっても1人しか
居てへんのやけど、沢崎が会ったのは望月皓一、ある金融会社の支配人という。
見るからに紳士然とした男だ。依頼の内容は赤坂の有名料亭「業平」の女将、平岡静子の
身辺調査ということだ。
簡単、簡単と思ったら何のその、調べ始めたら女将はもう亡くなってるというではないか?
しかも、その後支配人とは全く連絡がとれない。やむなく勤め先に行ってみる。
ところがそこで事件勃発。いきなり銃をもった男たちが乱入してきたのだ。
主犯は逃げてしまったけど、なんとか事なきを得た望月は、其の場にいた若い男と
一緒にこの事件も調べることになる。事態はどんどんもつれていくけど、どんどん
絡み合ってもくる。
一体、女将は何者だったのか? その妹、嘉納淑子とは?
その夫とは?
銀行強盗の主犯はつかまるのか?
依頼人は見つかるのか?
事件はどんどん意外な方向に展開していく。
とてもハードボイルドだ。
あんまり細かいとこや、わざとらしいとこを気にせんかったらとても面白い。
素直に楽しめる。
分かりやすいハードボイルドを楽しむのも良いものだ。

グレアム・スウィフト、「マザリング・サンデー」
この本、すごく良い。とても良い。洗練されて、繊細で、叙情的でエロチックでもある。
ジェーン・フェアチャイルドはアプリィ邸のメイドである。今日は待ちに待った
マザリング・サンデーの日だ。マザリング・サンデーというのは、年に1回、
メイドが親元に帰れる日なのだ。イギリスの名門の家庭ではそれが当たり前の事、
他のメイド、アイリスとエセルもお小遣いをいただいていそいそと帰っていった。
私は帰るところがない。孤児だからだ。帰るふりをして自転車にのってある家に急ぐ。
そこでは、今日一日だけ私は女王様になれる。
そこには愛しい男が待っている。
二人は一糸まとわぬ姿で思い切り愛し合う。
男はこの家の跡取り、もうすぐ婚約者の元に急がねばならない。
しかし、今は二人は自由だ。何者にも邪魔されない愛の営みがある。
時がきた。男は出かける。
女は一人。愛を噛みしめる? 虚しさを? 喜びを?
そして、悲劇が・・。
何ということだ。
この日の記憶が彼女に何を残したのか?
コンラッドの「青春」から得られたものは?
この家にその後、起きたことは?
彼女はそれからどうなった?
とても面白い。
知的でカッコイイ本だ。

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ありがとうございました。