ウンベルト・エーコ、「バウドリーノ」上、下
「薔薇の名前」は非常に難しいけど面白かった。「前日島」は非常に難しいけど、難しかった。
「バウドリーノ」はどうだろう。
難しいけど面白かった。読んでいて実に楽しかった。
「世界はどんなくだらないことについても嘘しかつかない嘘つきを断罪するが、この上なく
大きいことについてのみ嘘をつく詩人を称賛する」ということで、ただの農民の子で大嘘つきの
バウドリーノがいつのまにか神聖ローマ帝国、フリードリッヒ皇帝の養子になってしまう。
この時代は、神聖ローマ帝国の陰りの時代だ。バウドリーノは皇帝の息子として、大嘘を駆使
しながら大活躍だ。イスラム圏の国との争い、ビザンツ帝国との争い、神聖ローマ帝国内の
諸侯との争いの中で様々な権謀術数がうずまくなかを楽しく泳いでいる。
そして皇帝の不思議な死。
バウドリーノ達は「聖ヨハネの国」を探して旅に出る。
インドの更に向こうにあるらしい。
地球は丸いはずはないそうだからその向こうはどうなっている?
物語りの始まりと終わりはコンスタンチノープル。いまのイスタンブールだ。
東洋と西洋の文明の十字路だ。
アヤソフィアという美しい寺院がある。ビザンツ帝国の時代はキリスト教の寺院だった。
そのあとイスラムに占領されてからはイスラムの寺院になっていたそうだが、今は記念館として
無宗教の建物であるらしい。ビザンツのなごりのギリシャ正教の人々がたくさんここを訪れる
そうだ。
歴史はまだ終わっていないのだ。
この話、聖櫃とか聖杯とか言った聖遺物のねつ造、取り合いも沢山でてくる。
まるで[インディジョーンズ」の世界でもある。
こういう聖遺物を必死で取り合う宗教感覚はキリスト教をよく理解していない私にはもひとつ
よくわからない。
当然十字軍の必然性などもよくわからない。
しかし、話はおもしろい。
さて、フリードリッヒ大王を殺したのは誰か?
どうやって?
元々これも推理小説の一種なのだ。
下巻の写真とってなかった。まあ関係ないけど。
毎週火曜は最近読んだ本の話です。
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