相当腹が減っている。
どんなとこで飯を食うんやろ。楽しみやけど、とても不安だ。
バスが停まったのは大通りに面したドライブインのようなレストランだ。この
あたりにはここしか無いという雰囲気でどんと店を構えている。
さあ、やっと昼飯が食える。
結構清潔そうな店やんか。
その前に、「ここは、ベトナムドン使えるの?」って聞いておく。カンボジア
リエルは持ってないんでだめやったら飯を食われへん。「問題ないよ」と言う
事で安心して中に入る。中はえらく広い。
座ってみたけど、誰も注文にくる様子がない。皆さん奥の方に歩いて行くようだ。
どうも奥に料理が並べてあって、まずトレイにご飯を載せてもらって、その上
に好きなおかずを選んで載せてもらうという極めてアジアンな食べ方の店らしい。
おばちゃんにまずご飯を頼むのだ。
もしかしたら、ここで特別注文で料理も作ってもらえるのだと思う。しかし、
そのためには言葉が喋れないと始まらん。
ごはんと別々のオプションもあるようだ。
わしらは先におかずを選んでしまったんで必然的にご飯とは別々になってしま
った。
さて何にしよう。いろいろ有るけどちょっと見には何が何の料理かようわから
ん。想像力を働かすしかない。
「あれは魚やで?」、「こっちは鶏かなあ?」、「あっちはきっと蛙やで?」、
友人と2人であれこれ悩んでたら、ドイツから来た若者が近寄ってきて、あれ
は何だ? これは何だ? と指を指す。
「はっきりはわからんけど、あれは魚やと思う」とか、「これは蛙やと思う」
とか言うと首をすくめて固まってしまったようだ。
さすらいのバックパッカーのように見えたけど意外とあかんたれなんや。
急に親しみが湧いた。
それでわしらがくったのは、
魚の煮付け風?
これおいしい。見たまんまの味だ。しょうがみたいなのはパイナップル?
ビール飲みたいけど途中でトイレ行けるかどうかわからへん。がまんしとこ。
次は野菜炒め。
これも分かり易い。見たまんまの材料で見たまんまの味だ。
それとエビの唐揚げ。
これもえらい美味い。川エビやろなあ? ビールが欲しい。
それにご飯。
これも何の問題もない。
卓上には唐辛子が置いてある。魔法の辛さ増しやな。
ごはんとこれとおかずをまぜまぜして食べると辛いけどとてもおいしい。
結構美味しい料理を頂けた。
ドイツの若者は魚もエビも肩をすくめてたけど何食ったんやろ。鶏みたいやっ
たなあ。
それで幾らなんやろ?
料理とった時も金を払う場所がなかった。レジがない。
でもお金をとらへんはずがない。
飯を食い終わった頃、おっちゃんがやってきた。幾らって聞いても通じるはず
が無いんでベトナムドンを出して見せた。
10万ドン取りはった。
日本円で約500円。わしらの感覚ではえらい安いけど、きっとしっかり取りは
ったんやと思う。もっともっと安いはずだ。
さあ、しっかりトイレに行っておいて、バスの旅の再開だ。
もうじき着くかもしれんと思ってたけどまだまだ先は長いのだった。
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ありがとうございました。