最近読んだ本、「祖国、上、下」。

  • 2022年1月6日
  • 1人

フェルナンド・アラムブル、「祖国、上、下」。

ある日、突然チャトが死んだ。妻のピジョリはいつまでも立ち直れない。
予兆はあった。なんども脅迫状が届いていた。
過激派テロ組織からの金の要求だ。拒絶したらどうなる?
こんなふうに襲撃されるのか?
バスクの村。誰もが過激派のシンパなのか? 殺された者にも家族にも
人々の目は冷たい。息子のシャビエル、娘のネレア。
それぞれの暮らし。
そして襲撃したのは誰? まさかホシュマリ?
チャトの親友ホイアンの息子ではないか。
ホシュマリの妹アランチャは突然難病になった。車椅子と介護とiPadがないと
生きられない。母ミレンはピジョリを憎んでいる。
弟のゴルカは?
時が行きつ戻りつする。2つの家族のそれぞれの暮らし。
愛と憎しみ。希望と絶望。
都会と田舎。
バスクの暮らしとは。民族愛とは。

話は淡々と進む。決してドラマチックではない。
過去が今か、今が過去か、人によって見方が変わる。行動の意味が変わる。
交錯しながら彼らの人生が語られていく。
淡々とではあるが、切なく重い。
祖国バスクとは彼らにとって何なのか?
そこにクラス人たちにとって何なのか?
ドラマチックではないけど、惹きつけられる。部分、部分がつながって
全体が見えてくる。
とても良い。
この話に流れているのは、「許し」なのか。
理不尽さ、不条理さを曝け出すことよりは、「許し」の想いが伝わって
くるようだ。
昨今の、「不寛容」としか言いようのない世界。
何かというとアラや失敗を咎め立ててマスコミが先頭になって煽り立てる。
とことん引き摺り下ろすまでやめない。
情けない世の中になったわいと嘆いているけど、こんな話を読んだら
少しは救いになるのではなかろうか。
アランチャとシャビエル。アランチャとピジョリ。ピジョリとミレン。
ゴルカの愛?
とても面白い。

 

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ありがとうございました。