山崎朋子、「サンダカン八番娼館」
マレーシアのボルネオ島にサンダカンと言うところがある。今回のマレーシア、
インドネシア紀行でもついでに行かれへんかなあってチェックはしたけど、今
回の行程の中に入れるのは難しかった。何で行きたかったかって言うとまだ読
んでなかったけどこの本の事が念頭にあったからだ。
それで帰ってしばらくしてから読んで見た。
すさまじく哀しい話だ。
戦前、戦中の時代、天草あたりではその日の食べるものにもことかく人たちが
多いどの村でも極貧の環境であって、なんとか生き延びる為に南方の島に出稼
ぎにいかないと仕方ないという状況であった。出稼ぎといっても、いわゆる、
からゆきさんと呼ばれるようなつらく哀しい仕事、春をひさぐ仕事であった。
沢山の人たちが、南方に向かった。ボルネオ島のサンダカンと言うところもそ
ういう中心的なところであったらしい。
おサキさんと言う老女がどうもそこに居たことがあるらしい。作家は、彼女か
ら話を聞こうとする。しかし、おサキさんだけでなく、誰もそんな事に触れら
れたくないと頑なに拒まれる。それでも作家は、彼女の家に住み込むことで、
何とか心をほぐして話をしてもらおうと頑張る。
とうとう少しずつ・・・。
事実が語る物語はすさまじいものだ。
作家の文の力をはるかに超えてしまってるんではないやろか。
おサキさんのおかげでこの本はできたかもしれへんし、それを引き出したのは
作家の力なんかもしれへんけど、それにしてもこの作家の取材の姿勢は私は個
人的には好きになれない。
よう考えたら映画にもなったベストセラーなんやね。
平山三郎、「阿房列車物語」
内田百閒先生の阿坊列車シリーズは大好きだ。あの小心なようでとぼけた、く
そ真面目なようで飄々とした、天然のようなユーモアが溢れ出している話の流
れはとても面白くて、何度も何度も思い出しては読んでいる。
読んでて気になるのは、いつも百閒先生の旅のお供をしている、希代の雨男、
ヒマラヤ山系君だ。こんな人ほんまに居てはんのやろか? もし居てはるんや
ったら同じような本書けるんちゃうやろか? なんて考えてちょっと調べてみ
たらやっぱり居てはった。そして、この「阿房列車物語」なるような本を書い
て阿房列車の裏話を解説してくれてはるのだ。なるほどやっぱりそうなんか。
どっから見ても百閒先生は百閒先生やなあ。
そのまんまやんかと思う。
見送亭夢袋さんて実際は誰やったとか皆解説してくれてる。
まあ、わかったところでどうという事はないんやけど。
阿房列車の特別号というくらいのもんやね。
愉しい。
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ありがとうございました。