最近読んだ本、「紙の動物園」、「アジア新聞屋台村」

  • 2016年2月4日
  • 5人
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「紙の動物園」、ケン・リュウ
とてもいいSF短編小説集だ。優しくて、静で、穏やかで、柔らかくて、知的で
ちょっと哀しい。
・僕の母さんは中国人だった。一言も英語をしゃべれなかったけど、生きてい
くために米国人の妻となった。そういうブローカーがいたのだ。貧しい暮らし
の中で子どもの僕の為に使い古しの包装紙を使って動物達を折っておもちゃに
してくれた。母さんがふっと息を吹き込むと、それらはまるで命を与えられた
ように生き生きと動いた。
・もののあわれ
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 芭蕉
・・・・夕陽無限に好し。只だ是れ黄昏に近し・・・李商隠「楽遊原」より
蒲公英のうつむきたりし月の夜
どうしてこんな感性があるんやろう。すばらしい。
・結縄
中国に太古から伝わる教えが、科学の未知の分野を切り開く鍵になるかもし
れない。その叡智をわれらに伝えてほしい・・・・。
その代わりに得たものは? 飢えた村人たちを救えるのか?
・太平洋横断海底トンネル小史
太平洋戦争の無用のものにさせた方法とは?
・心地五行
人が人として生きていく為に本当に必要なものとは?
・僕の父は妖怪退治師だった。僕もそうなりたい。しかし、妖怪は居なくなる
のか? 妖怪退治師は必要なくなるのか?
あの時逃がした美しい狐の妖怪の運命は?
・少女は老人に中国の文字が持つ宇宙の姿をわかりやすくおしえてもらっていた。
ある日、その話を父母にした。
次の日、老人は捕らえられ、拷問されて、死んだ。
知らず知らずに引き金をひいている。
とても面白い。

hon160203-1

「アジア新聞屋台村」、高野秀行
この人の本を見つけるとつい読んでしまう。いつもとても面白い。
旅と冒険の話が一杯詰まっているからだ。
ある日、突然、売れないライター、タカノ青年のところにエイリアンいや、
エイジアンという新聞に記事を書いてくれと言う依頼がきた。半信半疑で行っ
て見るとそれは、台湾人の劉さんという女社長が立ち上げた出版社で、実に奇
妙奇天烈なものだった。タカノ青年はいきなり編集長もどきの仕事に巻き込ま
れてしまう。その新聞たるや支離滅裂ハチャメチャなんでもありの屋台村とし
かいいようのない記事作りで、そのメチャメチャカオス的なところがそれなり
にスタイルになってしまってそれなりの読者を引きつけているようでもあるのだ。
なんと恐ろしい。でもなんとなくはまったらやめられへん。
そして総てが順調にいくかと思いきや・・・・
危機が訪れる。・・・・
一難去って又一難。
又々、危機が・・・・。
今度こそ解散か?
いったいどうなるのだ。
いろんな国の人が入り乱れて、いろんな事件を起こしていく。
あの国はこんなのと言ったステレオタイプ的な捉え方ではなくて、実際にその
地を踏んでその土地の人達と交流した経験に裏打ちされたアジアの世界が立ち
上がってわくわくするのだ。
とても面白い。

hon160203-2

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ありがとうございました。