深沢潮、「ハンサラン愛する人びと」
この本は、友人がFBに感想を投稿していて、わしも読んでみたいなと思って
図書館に登録したのがやっと順番がまわってきたのだ。本は他人の「いいね」
を参考させてもらって読む場合も多いのだ。
ドラマチックな本ではない。
シリアスでもない。よう読んだらシリアスで無くもないんやけどそうは思わせ
ない。コメディでもなければラブストーリーでもない。非日常が立ち上がって
心をざわつかせるようなものでもない。ごく普通の生活が描かれているだけだ。
それが実に面白い。
ちょっとあくの強い結婚仲介屋のおばちゃんがいる。
このおばちゃんにまかしといたらたいていの縁談はうまいこと行く。
対抗馬の○○おばちゃんと、このおばちゃんが人気を二分して在日の社会の中
では大盛況だ。
こんな話が面白くないはずがない。
結婚は人生の最大イベントでもあるのだ。
うまくいくかどうかで人生大違い。見栄を張る人、嘘ついてごまかす人、見か
けに寄らない人、様々だ。虚々実々の駆け引きがあったりなかたtり、そこか
ら見える人間模様。事実は小説より奇なりなのか、やっぱり小説やから面白い
のか。舞台は在日韓国人の人たちの世界。それ故に被る理不尽さやその社会独
特の内輪の世界もある。そんなこんなが入り乱れてるあいだに、四柱推命や風
水の占いも登場してとても面白いのだ。
村上春樹、編・訳、「セロニアス・モンクのいた風景」
セロニアス・モンクの演奏を実際に聞きに行った事があるという話はこのブロ
グでもしたことがある。遠い昔、学生時代の事だ。確か福岡の九電記念体育館
というとこやったと思う。わざわざ北九州市から行ったのだった。モンクはか
なり好きやったから友人達と期待して行った。ところが、開演時間になっても
なかなか始まらへん。どなんなってんの?本人が未だ来とらへんらしい?
そんなこんなで1時間以上遅れてやっと舞台に現れて、ぬっと突っ立ってたと
思たら、ボンボンとピアノを叩いて、「さくら、さくら・・」らしきものを弾
き始めた。ひとしきり弾くとやめてしまった。
ものすごく後味の悪い演奏会やった。こいつは不遜なやつやと思った。
この本によると、モンクについてはそう言うことが良くあったのだそうだ。
いろんな理由があったらしい。天才は得てして奇矯な行動をする。常人には測
り知れない何かがある。
そう言われてしまえば身も蓋もないけど、一生に一回かも知れんチャンスにそ
んな目に会いとうないもんや。
それと、パノニカと言う終生の庇護者の話が面白い。ヨーロッパ屈指の大富豪
ロスチャイルド家の令嬢にして大戦中のレジスタンスの闘士。アメリカに逃れ
て来ても怖いものはない。高級ホテルの部屋を借り切って売れないジャズミュ
ージシャン達に演奏の場を提供してる。それに猫にもだ。ミュージシャン達同
様或いはそれ以上の愛情を注ぐ。猫にもジャズミュージシャンと同様の敬意を
払っていたんだと思う。
ホテルの次に買った屋敷も猫だらけだったそうだ。凄まじい汚物と匂い。
色々な逸話を読んでいるととても面白い。
そうなるとセロニアス・モンクのジャズが聞きたくなる。
ネットで見ると全集みたいなのが安かったんで買ってしまった。
Crepuscute With Nellie
ニカが名付けた曲。ええですねえ。
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ありがとうございました。