この映画を見たのは随分昔だ。中国名は、「周漁的火車」。
周漁の列車の旅という事だ。この映画で、中国の現代詩も
美しいなという事と、雲南省の建水ってところに本当に
陶磁器の郷があるのだろうか。あるなら行って見たい。
重慶の長江を渡るロープウエーも本当にあるのか。あるなら乗って見たい。
それから、建水から重慶への列車の旅ってどんなんだろう。
などと、いつかあの辺りに旅に行く事があったら、行って見たい
ところが印象付けられていた。
映画は、詩集の中の話のようで、現実の話のようで、夢か現か
定かでないような仕立てであったが、ロマンチックの匂いが強すぎて
かなりじれったい話でもあった。
それでも、映像はすばらしく綺麗だったので、行ってみたい気持ちはずっと残っていた。
それで、今回、重慶、武当山の旅行を思いついて、重慶のロープウエーと
列車の旅を組み込む事にしたのだ。しかし、いろいろあって、
最初は重慶をあきらめ、次は武当山をあきらめると、計画は二転三転した
あげく、重慶だけに行く事になったので、
このロープウエーだけは行っておくことにしたのだ。
映画の設定のように、ごく市民が日常に使うロープウエーであった。
その日常の暮らしの窓から、霧に煙る長江の流れと、重慶のビルを眺めて
現ではないものを想うのも一興であった。
霧がそうさせるのだ。
昔の映画の思い出を辿る為に旅に行くのか、
旅に行くとなれば、昔の映画が思い出されるのか。
どちらが先でも好いじゃないですか。
毎週木曜は映画や音楽、書画に関する話です。