タイ、北部、ミャンマー国境の旅-13、西の国境地帯へ

飯を食い終わってトイレに行きたくなった。店の裏のほうだよって言うんで、
裏口の方に行った。えらい妖しい雰囲気だ。特に不衛生というわけではない
けど、表はわりときちんとしてるわりには裏はかなり雑ぱくな感じを受ける。
外面のええ店なんや。
トイレは畑を横切ってずっと向こうに行く。
トイレから店を振り返るとこんな感じ。

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そんな事はどうでもいい。
「ミャンマーとの国境を見たいか」とガイドさんが言うんで、「見たい」と答
えた。車はどんどん山の中に入って行く。
ちょっと見晴らしのええとこで止まって、「あれや」と言う。

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あの山の中腹を菱形に切り取ったようなとこがミャンマーの国境警備隊の宿舎
があるとこなんやそうや。遠目にはようわからんけど、自然の森の中にちょっ
と異様な一帯があるということなのだ。
そこをちょっと上にあがったとこに何やら真っ白なお寺がある。

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現役の修行の寺って言うけど異様にけばけばしいと思うのは日本的な感覚なん
やろか?

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日本の寺のように本堂があったり鐘撞堂があったり、五重塔やら三重塔があっ
たりしたら自然と有難い気持ちに入って行けるんやろけど、こんなキンキン真
っ白のパゴダみたいなもんやとどうしても白けてくる。それでも中に入るとピ
リッとした空気が漂ってるんで、ふざけてた気持ちはあかんなのやなあって反
省する。

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ここは講堂みたいなとこなんやろか、白いさらっとした服を着た人達が沢山床
に座って、中央でこちらをむいて喋っている講師の言う事を熱心に聞いている。
邪魔せんようにそっと抜け出して構内をぶらついて見る。宿泊施設施設なんか
も完備した修行の寺らしいけど、もしかしたら新興宗教の施設なんかもしれん
なあって思った。
美味しそうなキノコが机の上に乗ってる。

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これ幾らなんやろって聞いたら、売りもんと違うって言われた。
共同生活で使うんやろか。残念やなあ。美味そうやのに。
何かわからんけどこれも観光なんやろか。
寺のある高台から下を見ると幾つもの川が集まってきている、のんびりとした
豊かな田園地帯が見えた。

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「こんどは、ミャンマーとの国境のタイ側のとこ見にいきませんか?」とガイ
ドが言う。勿論異存はない。あの川のずっと左の方にあるらしい。
一旦ふもとまで降りてしまって、川に沿って上っていく。こんなに豊そうやの
に人は殆ど住んでない。余裕があるんやろね。
程なく前方に柵が見えて来た。

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あれが国境らしい。
簡単な上下式の柵と掘立小屋が一つあるだけだ。
わしらが柵のあたりでガヤガヤしてるもんやから中から警備員が出てきた。
国境警備の担当官らしい。厳しい顔をしてるけど笑ったらやさしい。
「写真撮ってもええですか?」って聞いたら、笑ってポーズしてくれた。
やさしいけど銃だけは持ってはる。何かあるときもあるんやろか。それにして
もこんなとこで入出国する人はいてはれはんのやろか? もしわしらが、ここで
出国したいって言うたらどうなんのやろ? パスポートにポンとハンコついて、
笑って行かしてくれるんやろか?
この先を向こうに行ったらミャンマーの入国のやっぱり柵みたいなんがあるん
やろね。行って帰るだけでもしてみたい気もするけど、ここではダメみたい。

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川縁には舟が繋いであった。

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川を下ってくる不正入国者を取り締まるんやろか?
ミャンマー側で急病人が出た時には、舟に病人を乗せて下ってくることがある
そうだ。その時は、ここを無条件で通してくれてタイ側の病院に運ぶ事になっ
ているのだそうだ。
成る程、ようできてる。
この川、メコン河みたい。ラオスに行った時の風景とよう似てる。

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今頃は、東南アジアに異常なモンスーンがきているとかで、何年に一回かの大
洪水が発生してるのだそうだ。
このあたりは上流も下流も大丈夫なんやろか。水が豊かなだけに水の被害も大
きい。無事を祈ります。

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ありがとうございました。